ハードウェアウォレットColdcard、5年間見逃されたバグで約170億円相当が流出【2026年8月最新】自衛のためにできること

「ハードウェアウォレットを使っていれば安心」——そう思っていた人ほど衝撃を受けたニュースです。

2026年7月、Bitcoin向けハードウェアウォレット「Coldcard」に、2021年3月から実に5年間気づかれていなかった乱数生成(RNG)の欠陥があったことが判明し、攻撃者が複数の波に分けて資産を盗み出しました。被害規模は報道により幅がありますが、複数の分析会社の集計では最大で約1,816BTC・5,200以上のアドレス(当時のレートで約1億1,600万ドル、日本円で約170億円相当)に上るとされています。最初の攻撃波では、わずか41分で1,196件のアドレスが一斉に狙われました。

ハードウェアウォレットという「最も安全とされる保管方法」ですら、こうした欠陥から逃れられなかった今回の事例から、何が起きたのか、そして私たちが今すぐできる自衛策を整理します。

何が起きたのか:「本物の乱数」のはずが予測可能だった

Coldcardは、ウォレットの秘密鍵のもとになる「シード(種)」を生成する際、本来はチップ内蔵の真性乱数生成器(ハードウェアRNG)を使う設計でした。ところが2021年3月にリリースされたファームウェア(v4.0.1)に含まれていたプログラムの条件分岐の誤りにより、一部の端末では意図せず、ソフトウェア由来の疑似乱数生成器(MicroPythonに組み込まれた「Yasmarang」)にシード生成が切り替わってしまっていました。

この疑似乱数は、デバイス固有のID情報やタイマーの状態など、外部から推測・絞り込みが可能な要素から生成されていたため、攻撃者は実機に一切アクセスせずに、オフラインでシードの候補を再現できてしまう状態にありました。

なぜ5年間も気づかれなかったのか

このバグは2021年のファームウェア更新時に混入し、2026年7月末まで表面化しませんでした。Block社のエンジニアリングチームや独立系の研究者による詳細な調査でようやく根本原因(プリプロセッサのマクロ条件の誤り)が特定されています。

一見地味なコードの条件分岐の誤りが、暗号学的に致命的な脆弱性につながっていたという点で、通常の監査プロセスでも見抜くのが難しいタイプの不具合でした。なお、この事件を受けて実施されたAIによる監査では、Bitcoin関連のコードベース全体からさらに85件の重大な脆弱性が新たに発見されたと報じられており、今後はこうしたAI支援の監査がセキュリティ対策の一部として重要性を増しそうです。

自衛のためにできること

・ファームウェアを必ず最新版に更新する: 今回の脆弱性は修正済みのファームウェアで解消されますが、これは「今後新しく生成するシード」に対する対策です

・脆弱なファームウェアで生成したシードは、新しいシードに作り直して資産を移動する: ファームウェア更新だけでは、既に生成済みのシードの安全性は回復しません。該当する時期にColdcardでウォレットを作成した場合は、新規シードを生成し、資産を新しいアドレスへ移す必要があります

・「ハードウェアウォレットだから安全」と過信しない: 今回のように、ハードウェア自体ではなくファームウェア(ソフトウェア)側の欠陥が原因になるケースもあります。公式のセキュリティ情報・アップデート通知は定期的に確認しましょう

・可能であればマルチシグ(複数署名)構成を検討する: 単一のウォレット・単一のシードに資産を集中させないことで、1つの欠陥が資産全体の流出に直結するリスクを減らせます

まとめ

今回のColdcardの事例は、「ハードウェアウォレット=絶対安全」という思い込みへの警鐘です。地味なコードの誤りが5年間見逃され、大きな被害につながりました。自分の使っているウォレットのファームウェアが最新か、脆弱性のあった期間に作成したものではないかを、この機会に確認しておくことをおすすめします。同様にウォレット・アカウントのセキュリティが問われた事例として、Trezorの配送業者経由の情報流出も参考にしてください。

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