結論: 国際銀行間通信協会(SWIFT)は、ブロックチェーン基盤の共有台帳を使い、「トークン化預金」による24時間365日の即時国際送金を試験する取り組みを開始した。三菱UFJ銀行・シティグループ・HSBC・UBS・ウェルズ・ファーゴなど世界6大陸17の主要金融機関が参加しており、実用化すれば従来数日かかっていた国際送金が即時化される可能性がある。日本でも暗号資産の金融商品取引法(金商法)への移管やステーブルコインの信託型解禁が既に進んでおり、こうした世界的な決済インフラのブロックチェーン化と足並みを揃える動きとして注目される。
SWIFTの試験で何が変わるのか?
SWIFTは世界の銀行間送金メッセージの大部分を担う国際的な決済ネットワークだが、従来の国際送金は複数の中継銀行を経由するため、着金までに数日かかったり、手数料が高額になったりする課題が指摘されてきた。今回始まった試験運用では、銀行が発行する「トークン化預金」(預金をブロックチェーン上でデジタル化したもの)をSWIFTの共有台帳でやり取りすることで、24時間365日、即時に近い形での送金完了を目指す。2026年7月にはブロックチェーン台帳の初期提供に向けた準備が完了したと発表されており、今回はその実証段階にあたる。
どの銀行が参加しているのか?
試験には世界6大陸から17の主要金融機関が参加している。主な参加行は以下の通り。
| 地域 | 主な参加銀行 |
|---|---|
| 日本 | 三菱UFJ銀行 |
| 米国 | シティグループ、ウェルズ・ファーゴ |
| 欧州 | HSBC、UBS |
大手商業銀行が横断的に名を連ねている点から、単なる実験に留まらず本格運用を見据えた取り組みであることがうかがえる。
なぜ今、銀行がブロックチェーンに動くのか?
背景には、ステーブルコインや暗号資産を活用した送金サービスが、送金速度・手数料の両面で既存の銀行間送金を上回りつつあるという競争環境がある。XRP(リップル)のように国際送金の効率化を掲げるブロックチェーンプロジェクトが2026年に入り相場・注目度ともに上昇していることも、既存の金融インフラ側が変化を迫られている一因と見られている。SWIFT自身も「送金時間の遅さや手数料の高さを解消できるかが試験の焦点」としており、既存の銀行ネットワークが自らブロックチェーン技術を取り込むことで、暗号資産・ステーブルコインベースの送金サービスに対抗する狙いがあるといえる。
日本の暗号資産規制とはどう関係するのか?
日本国内でも、ブロックチェーンを用いた決済インフラの整備と歩調を合わせるように法制度の見直しが進んでいる。信託型ステーブルコインを解禁した改正資金決済法はすでに施行されている。暗号資産を金融商品取引法(金商法)の枠組みに移す改正金商法は2026年7月23日に公布され(衆議院「議案審議経過情報」)、暗号資産の部分は公布から1年以内の政令で定める日に施行される。暗号資産の利益を総合課税(最大55%)から申告分離課税(20%)に変える所得税法等の一部を改正する法律も2026年3月に成立しており、改正金商法の施行日が属する年の翌年1月1日以後の取引から適用される(財務省「令和8年度 税制改正の解説」、2026年10月17日確認)。SWIFTのような国際送金インフラのブロックチェーン化は、こうした日本国内の暗号資産・ステーブルコイン関連の法整備の必要性を一段と後押しする材料になり得る。暗号資産にかかる税金の詳細は「仮想通貨の利益、税金はいくら?年収別・利益額別シミュレーションで見る手取り額」も参考にしてほしい。
よくある質問
Q. SWIFTのブロックチェーン化で個人の送金はどう変わりますか?
今回の試験は銀行間の卸売り決済(ホールセール決済)が対象であり、個人向けサービスへの直接的な反映はまだ先になる見込みだ。ただし銀行間の送金インフラが高速化・低コスト化すれば、将来的に個人の国際送金手数料や着金までの日数にも影響が及ぶ可能性がある。
Q. XRPなどの暗号資産にとって追い風になりますか?
SWIFT自身のブロックチェーン化は、既存の暗号資産を採用するものではなく、SWIFT独自の共有台帳上でトークン化預金をやり取りする仕組みである点に注意が必要だ。ただし「国際送金の非効率さを解決する」というテーマ自体への市場の関心が高まることで、同じ課題感を持つXRP等の関連プロジェクトの注目度に間接的な影響を与える可能性はある。
まとめ
SWIFTはブロックチェーン基盤の共有台帳を使い、三菱UFJ銀行を含む世界17行でトークン化預金による24時間365日の即時送金試験を開始した。既存の銀行間送金インフラが暗号資産・ステーブルコインの効率性を取り込みにいく動きであり、日本国内で進む金商法移管・ステーブルコイン解禁・税制改正といった法整備とも軌を一にする。試験の進捗と実用化のタイミングは今後も注視が必要だ。
出典:日本経済新聞「国際決済網、ブロックチェーンで24時間送金 世界17行で試験運用」/SWIFT公式リリース(2026年7月9日付)(2026年10月17日確認)




