「MetaMask(メタマスク)がハッキングされたって本当?」「自分のウォレットは大丈夫?」「ステーキングしているETHはどうなるの?」
世界最大級の暗号資産(仮想通貨)ウォレットMetaMaskは、2026年10月1日朝(日本時間)、インフラの一部に影響するセキュリティ事故に対応していると公式Xと公式サイトで発表しました。この記事では、MetaMaskの公式発表、ステーキングの提携先であるLido(リド)の公式開示、ブロックチェーン上の記録をもとに、何が起きたのか、自分の資産に影響があるのか、今なにをすべきかを整理します。
この記事の結論(2026年10月3日10時 日本時間 時点)
- MetaMaskは「インフラの一部に影響するセキュリティ事故に対応中」と公表しました。何が起きたのかは、調査中のため公表しないとしています。
- 10月3日、Consensys創業者のJoseph Lubin氏が「これまでの調査で、MetaMaskのウォレットやウォレットの中の資金に影響があった形跡はない」「シークレットリカバリーフレーズと鍵は事故の対象外」と声明を出しました。MetaMask公式Xもこの声明を再投稿しています。ウォレットを使っているだけの人に、公式からの指示は出ていません。
- 予防のため、MetaMaskはステーキング事業で影響を受けたバリデーター(ETHを預けて動かす検証用のノード)を退出させています。Lubin氏は理由を「予防のためにバリデーターの鍵を交換したため」と説明しました。Lidoで運用している分は10月7日までに退出し、ETHがLidoに戻るまで最大で約45日かかる見込みです。
- Lidoは「stETHの保有者は何もする必要がない」と発表しています。
- 今やることは、①情報は公式の発表だけで確認する、②「補償」「移行」「本人確認」をうたう連絡を無視する、③シークレットリカバリーフレーズ(復元用の12語)を誰にも教えない、の3つです。
最新状況(随時更新)
| ウォレット | 「ウォレットや中の資金に影響の形跡はない」(10月3日、Lubin氏の声明。MetaMask公式Xが再投稿) |
| ステーキング | バリデーターの鍵を交換するため、退出→再ステーキング中(時間がかかる) |
| Lido分の退出 | 報道では10月7日に「退出はほぼ完了、新たな異常なし。ETHは今後数週間かけてLidoに戻る」(KuCoin News、10月9日確認。Lidoフォーラムの開示スレッドには追記なし) |
| stETH保有者 | 対応不要(Lido) |
| 被害の有無・金額 | 公表されていない(調査中の事故の詳細は公表しない方針) |
| MetaMaskの続報 | 10月3日8時19分にLubin氏が声明:シードフレーズ・鍵は対象外、出金用の鍵は運営が持っていない(10月3日10時確認) |
MetaMaskで何が起きた?公式発表の内容と時系列
MetaMaskは2026年9月30日23時38分(UTC)、日本時間では10月1日8時38分に、公式Xで「Security Update」としてセキュリティ事故を公表しました。同じ内容は公式サイトのニュース「User update」(9月30日付)にも掲載されています。
MetaMask公式発表の要約(文ごとの日本語訳)
- 現在、インフラの一部に影響する、進行中のセキュリティインシデントに対応している。
- 社内で問題の対処と修復を進めており、外部のパートナーやセキュリティアドバイザーと連携している。
- 現時点で、MetaMaskウォレットへの差し迫った脅威は確認していない。
- 予防措置として、非カストディ型(会社が利用者の資産を預からない形)のステーキング事業で、影響を受けたバリデーターを先んじて退出させている。顧客やパートナーと連携して行っている。
- 改めて、MetaMaskのステーキング事業は非カストディ型であり、顧客に代わって引き出し用の鍵を管理していない。
- 状況を注意深く監視し、必要に応じて続報を出す。
出典:MetaMask「User update」(2026年9月30日)、MetaMask公式X(2026年9月30日23:38 UTC)を本サイトで日本語訳。

MetaMaskは9月30日の第一報で「現時点で差し迫った(immediate)脅威は確認していない」と書き、10月1日の続報では「これまでの調査で、MetaMaskのウォレットや顧客の資金に影響が出た兆候はない」としました。ただし、調査と封じ込めはまだ続いており、MetaMaskは確認できた情報を順次出すとしています。
10月3日の続報:ウォレットや資金に影響はあった?Consensys創業者ルービン氏の声明
Consensys創業者のJoseph Lubin(ジョセフ・ルービン)氏は、2026年10月3日8時19分(日本時間)にXで「これまでの調査で、MetaMaskのウォレットやウォレットの中の資金に影響があった形跡はない」と声明を出しました。MetaMask公式Xも、この投稿を再投稿しています。声明の要点は次のとおりです。
- インフラの一部に影響したセキュリティ事故への対応を続けている。何が影響を受け、何が受けていないかについて、問い合わせや憶測に答える。
- これまでの調査では、MetaMaskのウォレットや、ウォレットの中の顧客の資金に影響があった形跡はない。
- シークレットリカバリーフレーズ、鍵、ウォレットの中の資産は、今回の事故の対象ではない。鍵は利用者自身が持ち、管理しているため、対象になりえない。
- 調査中の事故の詳細は公表しない。理解が十分に進んだ段階でパートナーに伝え、一緒に対応を決めて実行してから公表した。
- 予防のため、MetaMaskとパートナーはバリデーターの鍵を交換した。そのためバリデーターは一度退出してから、再びステーキングの順番待ちに並ぶ必要があり、時間がかかる。
- イーサリアムのステーキングでは、ブロックの提案・承認に使う鍵と、預けたETHを引き出す鍵が分かれている。MetaMaskは顧客の引き出し用の鍵を持っていないため、バリデーターの仕組みに問題があっても、預けたETHが不正に動くことはありえない。
出典:Joseph Lubin氏のX(2026年10月2日23時19分 UTC)を本サイトで日本語に要約。MetaMask公式Xの再投稿は2026年10月3日10時に確認。

この声明で、9月30日から「なぜバリデーターを退出させるのか」が分からなかった点に、MetaMask側の説明が付きました。退出は資金が危ないからではなく、予防のためにバリデーターの鍵を新しくするためで、鍵を変えるには一度退出してから並び直す必要がある、という説明です。ステーキングしている人にとっては、元本の扱いは変わらず、再びステーキングされるまでの間の報酬が減る、という影響になります。
一方で、どのシステムに何が起きたのか、侵入されたのか、いつ気づいたのか、退出させるバリデーターの数や対象の商品は、10月9日時点でも公表されていません。Lubin氏は「調査中の事故の詳細は公表しない」としています。また、声明はLubin氏に関連するとされるウォレットの13万3,298 ETHの送金(後述)には触れていません。
| 項目 | 10月3日の声明で分かったこと | まだ分からないこと |
|---|---|---|
| ウォレット・資金 | 影響があった形跡はない(これまでの調査で) | 調査の完了時期 |
| シードフレーズ・鍵 | 事故の対象外 | — |
| バリデーターの退出 | 予防のため鍵を交換。退出→再ステーキングで時間がかかる | 退出させる数、Lido以外の対象の商品、再ステーキングが終わる時期 |
| 預けたETH | 運営は引き出し用の鍵を持たないため、不正に動くことはない | — |
| 事故の中身 | 調査中の詳細は公表しない方針 | 何が起きたか、侵入経路、発覚した時期、13万3,298 ETHの送金との関係 |
Lidoの開示:MetaMask Stakingが「インフラの侵害」の調査を受けて退出
MetaMaskの発表の約2分後、ETHのリキッドステーキング最大手Lidoの公式フォーラムに、MetaMask Staking(旧Consensys Staking)に関する開示が投稿されました。Lido公式Xも同じ内容を投稿しています。要点は次のとおりです。
- MetaMask Stakingは、インフラの侵害(infrastructure compromise)の調査を受けて、顧客の資産を守るための予防措置を取った
- その措置には、Lidoプロトコルで運用しているETHバリデーターの退出が含まれる
- 本来得られたはずの報酬を失う可能性が高く、近くバリデーターをオフラインにした場合はダウンタイム(停止中)のペナルティが出る可能性もある
- 最後のバリデーターは10月7日中に退出する見込み(ただし引き出しの完了ではない)
- stETHの保有者は何もする必要がない
- 退出したETHは、退出・引き出し・再預け入れの流れを経て少しずつLidoに戻る。預け入れの待ち行列が長いため、最大で約45日かかる見込み
- Lidoには、多数のノード運営者への分散や、6,750 stETH超の臨時準備金などの仕組みがある

時系列(日本時間)
| 日時(日本時間) | 出来事 | 情報源 |
|---|---|---|
| 10/1 4:13 | Lubin氏に関連するとされるウォレットが、新しいアドレスへ1 ETHを送金 | ブロックチェーン上の記録 |
| 10/1 4:33 | 同じウォレットが、同じアドレスへ133,297 ETHを送金(合計133,298 ETH) | ブロックチェーン上の記録 |
| 10/1 8:38 | MetaMaskがセキュリティ事故を公表 | MetaMask公式X・公式サイト |
| 10/1 8:40 | LidoのフォーラムにMetaMask Stakingの退出の開示(8:44に公式Xにも投稿) | Lido |
| 10/1 8:52 | Aave創業者のStani Kulechov氏が「Lidoとともに状況を注視している。Aaveの市場に影響はなく、すべて通常どおり動いている」と投稿 | 本人のX |
| 10/1 10:38 | Lookonchainが、Lubin氏関連ウォレットの133,298 ETH(約3億5,620万ドル)の送金を報告(Lookonchainは「5時間前」と表記。ブロックチェーン上の記録では約6時間前の4:33) | Lookonchain公式X |
| 10/1 12:57 | セキュリティ企業SlowMistの創業者が「この種のステーキングノードの問題は、一般にETHの元本には影響せず、ステーキング報酬に影響しうる」と投稿 | 本人のX |
| 10/1 20:17 | MetaMaskが続報。「これまでの調査で、ウォレットや顧客の資金に影響が出た兆候はない」 | MetaMask公式X・公式サイト |
| 10/3 8:19 | Consensys創業者のLubin氏が声明。ウォレット・資金に影響の形跡はなく、シードフレーズと鍵は対象外。予防のためバリデーターの鍵を交換(MetaMask公式Xが再投稿) | 本人のX |
| 10/5 | LidoのコントリビューターがMetaMask Stakingへの新規預入を止める提案(targetLimit=0)をフォーラムに投稿 | Lido |
| 10/7 | 報道では退出ほぼ完了 | KuCoin News(報道) |
| 最大約45日 | 退出したETHが、引き出し・再預け入れを経てLidoに戻るまでの目安 | Lido |
※10月7日の時刻帯(UTCか等)はLidoの開示に書かれていません。Lubin氏関連ウォレットの送金とMetaMaskの事故の関係は、どの情報源も示していません(後述)。
なお、MetaMaskの運営会社は2026年9月9日に、旧社名のConsensys Software Inc.からMetaMaskに社名を変えています(インフラ事業は新しい「Consensys」として分社)。そのため、ステーキング事業も「MetaMask Staking(旧Consensys Staking)」と呼ばれています。
自分のMetaMaskウォレットは大丈夫?安全性について公表されていること
MetaMaskウォレットについて、Consensys創業者のLubin氏は10月3日の声明で「これまでの調査で、MetaMaskのウォレットやウォレットの中の資金に影響があった形跡はない」「シークレットリカバリーフレーズと鍵は事故の対象外」と説明しました。MetaMaskも9月30日の第一報で「差し迫った脅威は確認していない」としていました。ウォレットを使っている人に向けた「パスワードを変えて」「資産を移して」といった指示は、10月9日時点で出ていません。
MetaMaskは、資産の鍵を利用者自身が持つ「セルフカストディ型」のウォレットです。秘密鍵とシークレットリカバリーフレーズは利用者の端末の中で管理され、MetaMaskの会社が預かる仕組みではありません。今回の事故は、MetaMaskが「インフラの一部」と表現している会社側のシステムで起きたもので、その範囲として具体的に公表されている対応はステーキングのバリデーターの退出だけです。
ただし、侵害されたシステムの範囲、侵入の経路、いつ気づいたのかは公表されていません。「差し迫った脅威は確認していない」は調査途中の表現なので、続報で内容が変わる可能性があります。
| 項目 | 公表されていること | 公表されていないこと |
|---|---|---|
| 事故の内容 | インフラの一部に影響するセキュリティインシデント(Lidoは「インフラの侵害」と表現) | どのシステムか、侵入経路、発覚した時期 |
| ウォレット | 影響があった形跡はない。シードフレーズ・鍵は対象外(10月3日、Lubin氏) | 利用者への具体的な指示 |
| ステーキング | 影響を受けたバリデーターを予防的に退出。引き出し用の鍵は管理していない | 退出させる数、Lido以外のどの商品が対象か |
| 被害 | (記載なし) | 資産の流出があったか、その金額 |
ウォレットを使っているだけの人が、今回の件をきっかけに慌てて資産を別のアドレスに移す必要があるとは、公式は言っていません。むしろ、慌てて操作するときに偽サイトや偽サポートに引っかかるのが一番の危険です(後述の便乗詐欺の章を参照)。スマホの基本的な守り方はiPhoneのゼロデイ脆弱性と仮想通貨ウォレットの自衛策にまとめています。
ステーキングしている人への影響は?方式別の違いとやること
MetaMaskでETHをステーキングしている人への影響は、使っている方式によって分けて考える必要があります。MetaMaskのステーキングには、公式ヘルプによると次の3つの方式があります。
| 方式 | 仕組み | 今回、公表されている影響 | 公式の指示 |
|---|---|---|---|
| リキッドステーキング(Lido) | MetaMaskの画面からLidoにETHを預け、stETHを受け取る | Lido内でMetaMask Stakingが運用するバリデーターが退出中。報酬の機会損失やペナルティの可能性 | 対応不要(Lido) |
| プール型ステーキング(Pooled Staking) | 少額のETHを他の人と合わせて32 ETHにし、MetaMask(旧Consensys Staking)の基盤でバリデーターを動かす | 対象かどうかは公表されていない | なし(10/1 15時時点) |
| バリデーター型ステーキング(Validator Staking) | 32 ETH単位で、自分専用のバリデーターをMetaMaskが代わりに動かす | 対象かどうかは公表されていない(MetaMaskは「顧客と連携して退出」と説明) | なし(10/1 15時時点) |
出典:MetaMaskヘルプセンター「What happens to my tokens when I stake through MetaMask?」「What is MetaMask Pooled Staking?」「What is validator staking?」、Lidoの開示(いずれも2026年10月1日確認)
なぜ「元本は守られる」と説明されているのか(署名の鍵と引き出しの鍵)
ETHのステーキングでは、バリデーターに2種類の役割の鍵があります。毎日のブロックの検証に署名する「署名用の鍵」と、預けたETHを最終的にどこへ引き出すかを決める「引き出し先(引き出し用の鍵)」です。バリデーターの運営会社が持つのは署名用の鍵で、MetaMaskは「顧客に代わって引き出し用の鍵を管理していない」と説明しています。
この仕組みのため、運営会社のシステムが侵害されても、それだけで預けたETHの引き出し先を書き換えることはできない、というのがMetaMaskとLidoの説明の前提です。SlowMistの創業者も「この種の問題は一般にETHの元本には影響せず、報酬に影響しうる」と投稿しています。一方で、署名用の鍵が悪用されると、二重署名などでETHの一部を没収される「スラッシング」のリスクがあります。Lubin氏は10月3日の声明で、退出の理由を「予防のためにバリデーターの鍵を交換したため」と説明し、「運営は引き出し用の鍵を持たないので、預けたETHが不正に動くことはありえない」としています。
stETHを持っている人:対応不要、影響は報酬のわずかな目減り程度
Lidoは「stETHの保有者は何もする必要がない」と発表しています。stETHを売ったり、引き出したりする必要はありません。CoinGeckoの価格では、10月1日14時53分(日本時間)時点で1 stETH=約0.9995 ETHで、ETHとの価格のずれはほとんどありません。
影響の大きさを数字で見てみます。Lidoの公開API(keys-api.lido.fi)では、MetaMask Staking(Lido上の登録名は「Consensys」)が動かしているバリデーターは約7,300本で、Lido全体の約2.7%です(10月1日15時取得。退出済みの数の反映には遅れがあります)。Lidoの直近7日の平均年利は約2.26%です。
試算:10 stETHを持っている場合の報酬の目減り
- 前提:Lido全体の約2.7%分のETHが、45日間まったく報酬を生まないと仮定(年利2.26%)
- 計算:10 stETH × 2.26% × 2.7% × 45日÷365日 ≒ 0.00074 stETH
- 円にすると約320円(1 stETH=約43万円で換算)
※本サイトの概算です。ダウンタイムのペナルティ、退出の進み具合、Lidoの準備金の使い方によって変わります。Lidoは影響の金額を公表していません。
プール型・バリデーター型でステーキングしている人:公式の指示を待ち、状態を確認する
プール型ステーキングとバリデーター型ステーキングが退出の対象かどうかは、10月9日時点でも公表されていません(Lubin氏の声明も、対象の商品には触れていません)。利用者向けの指示も出ていないため、次の順で確認するのが確実です。
- MetaMaskの公式発表だけを確認する:公式X(@MetaMask)と公式サイトのニュース(metamask.io/news)。続報で対象の商品が明らかになる可能性があります
- MetaMaskのアプリ・Portfolioのステーキング画面で状態を見る:バリデーター型なら「Validators」タブで、自分のバリデーターの状態(稼働中・退出中など)が確認できます
- バリデーターが退出した場合のETHの行き先を知っておく:MetaMaskの公式ヘルプによると、退出したバリデーターの残高は、イーサリアムの仕組み(スイープ)で利用者の報酬受取アドレスに送られます。受け取りには、退出の順番待ちとスイープの待ち時間がかかります
- 自分でアンステークするかは、公式の情報を見て判断する:プール型はいつでもアンステークを申請でき、手続きに数日かかります。手続きはMetaMaskのアプリ内で行い、外部のサイトやDMで案内されたリンクでは行いません
バリデーターの退出が完了してから、再びステークされるまでの間は報酬が出ません。ただし、MetaMaskの説明どおり引き出し先が利用者側にある限り、退出によって預けたETHが別の場所へ行く仕組みではありません。
なお、ステーキングを自分で管理するのが不安で、取引所のステーキング(取引所に預けて運用してもらう形)に切り替えることを考える場合は、リスクの形が変わる点に注意してください。取引所に預けると、引き出し先の鍵も含めて取引所が資産を管理する「カストディ型」になり、取引所のハッキングや出金停止の影響を直接受けます。海外取引所の多くは日本の金融庁に登録していない点も含めて、取引所ごとの安全性やKYC・出金の条件は、海外仮想通貨取引所ランキング(手数料・KYC・サポートの比較表)で比べています。
過去にも同じ「予防的な退出」はあった
ステーキングの運営会社がセキュリティ上の問題を受けてバリデーターを退出させるのは、初めてではありません。
| 時期 | 運営会社 | きっかけ | 対応 |
|---|---|---|---|
| 2023年11月 | InfStones | セキュリティ研究者がサーバーの脆弱性を報告(鍵が漏れた証拠は確認されず) | Lido内のバリデーターを順番外で退出 |
| 2025年9月 | Kiln | 提携先SwissBorgの資産流出(Solana)にKilnのAPIが関係 | 全ETHバリデーターを予防的に退出。退出に10〜42日、引き出しに最大9日。利用者の操作は不要と説明 |
| 2026年9月30日 | MetaMask Staking | インフラの侵害(詳細非公表) | 影響を受けたバリデーターを予防的に退出。Lido分は10月7日までに退出、戻りは最大約45日 |
出典:Lido Governance Forum(InfStones、2023年11月22日)、Kiln公式ブログ(2025年9月9日)、Lido Governance Forum(MetaMask Staking、2026年9月30日)
便乗詐欺に注意:MetaMaskの「偽サポート」「補償フォーム」の見分け方
大きなセキュリティ事故の直後は、「補償を受け取る」「ウォレットを移行する」「本人確認をする」と称して、シークレットリカバリーフレーズや署名をだまし取る詐欺が必ず増えます。MetaMaskの公式ヘルプが示している「本物の連絡手段」は次のとおりです。
| こんな連絡が来たら | 判断 | 根拠(MetaMask公式ヘルプ) |
|---|---|---|
| リカバリーフレーズの入力・送信を求められる | 詐欺 | リカバリーフレーズを求める人は詐欺だと明記 |
| 「MetaMaskサポート」から電話が来る・電話番号が案内される | 詐欺 | MetaMaskのサポートに電話番号はなく、電話で話すことはない |
| Xのリプライ・DMで「サポート担当」が話しかけてくる | 詐欺 | DMでパスワード等を聞くことはない。公式に似せたアカウントの手口として紹介 |
| 「アカウントの確認(KYC)・アップグレードが必要」というメール | 詐欺 | ウォレットの利用に本人確認やアカウントの確認を求めることは「絶対にない」 |
| 自分で開いた問い合わせへの返信が、support@metamask.io から届く | 本物の可能性 | メールでの連絡は、開いている問い合わせについて、このアドレスからだけ |
「事故の補償を受けるには、このサイトでウォレットを接続して署名を」という案内も危険です。今回の件で、MetaMaskもLidoも、補償の手続きやウォレットの移行は一切発表していません。知らないサイトで署名すると、トークンの使用許可(承認)を渡してしまうことがあります。過去に承認してしまったかもしれない人は、revoke.cashでウォレットの「承認の取り消し」をする手順で確認できます。
MetaMaskの問い合わせ先は1つだけ覚えておく
MetaMaskへの問い合わせは、公式ヘルプセンター(support.metamask.io)のトップにある「Contact Support」から行います。検索広告やSNSに出てくる「MetaMaskサポート」のリンクは使わず、URLを自分で入力して開くのが安全です。仮想通貨の詐欺の手口は仮想通貨の詐欺・出金停止・金融庁警告の一覧でもまとめています。
MetaMaskを名乗る詐欺メール・偽サイト・承認(approve)詐欺の見分け方と、リカバリーフレーズを入力・署名してしまったときにやること(新しいウォレットへの移動、revoke.cashでの取り消し、相談先)は、MetaMask(メタマスク)を名乗る詐欺の見分け方で詳しくまとめています。
Lubin氏関連ウォレットの133,298 ETH送金は関係ある?
イーサリアムの共同創設者で、Consensys(MetaMaskの旧運営会社名)の創業者でもあるJoseph Lubin(ジョセフ・ルービン)氏に関連するとされるウォレットが、大量のETHを動かしたことも話題になっています。この送金とMetaMaskの事故の関係は、MetaMask・Lido・Lookonchainのどの情報源も示していません。10月3日のLubin氏本人の声明も、この送金には触れていません。ここでは確認できた事実だけを書きます。
- オンチェーン分析のLookonchainは10月1日10時38分(日本時間)、「Lubin氏に関連するウォレットが5時間前に133,298 ETH(約3億5,620万ドル)を新しいウォレットへ送った」と投稿しました(日本円では約564億円)
- ブロックチェーン上の記録では、このウォレット(0x1b3c…A7C2)から新しいアドレス(0x69e4…7e93)へ、10月1日4時13分に1 ETH、4時33分に133,297 ETHが送られています。MetaMaskの発表(8時38分)の約4時間前です
- 送金先のアドレスには、10月1日15時時点で133,298 ETHがそのまま残っています。取引所への送金は確認できません
- このウォレットは、2026年6月5〜6日(UTC)にも合計約11万ETHを複数のアドレスへ送っています(ブロックチェーン上の記録)
- Lubin氏は10月3日8時19分(日本時間)にXで事故についての声明を出しましたが、この送金には触れていません(10月3日10時確認)

この記録には、もう1つ読者の参考になる点があります。最初の1 ETHの送金の直後から、送金先とよく似た(先頭が0x69e4、末尾が7e93の)別のアドレスから、0.000000001 ETHなどの極小額の送金が何度も届いています。これは、過去の送金履歴にそっくりなアドレスを紛れ込ませ、次にコピーして送るときに間違えさせる「アドレスポイズニング」という詐欺でよく見られる形です。MetaMaskの公式ヘルプも、送金先は先頭と末尾だけでなく真ん中の文字まで確認するよう呼びかけています。
よくある質問
Q. MetaMaskはハッキングされたのですか?
MetaMaskは「インフラの一部に影響するセキュリティインシデント」、Lidoは「インフラの侵害(infrastructure compromise)」と発表しています。Consensys創業者のLubin氏は10月3日、ウォレットや資金に影響があった形跡はないと説明しましたが、調査中の事故の詳細は公表しない方針で、攻撃の中身や何が盗まれたかは10月9日時点で公表されていません。
Q. MetaMaskのウォレットは今も安全に使えますか?
Consensys創業者のLubin氏は10月3日の声明で「これまでの調査で、MetaMaskのウォレットやウォレットの中の資金に影響があった形跡はない」「シークレットリカバリーフレーズと鍵は事故の対象外」と説明しています。MetaMaskも10月1日の続報では「これまでの調査で、MetaMaskのウォレットや顧客の資金に影響が出た兆候はない」とし、利用者には「不審な連絡に注意し、リカバリーフレーズや秘密鍵を誰にも教えず、公式のチャネルだけを見てほしい」と呼びかけています。調査は続いているため、公式Xと公式サイトの続報を確認してください。
Q. MetaMaskでステーキングしたETHは引き出せますか?
MetaMaskの公式ヘルプによると、プール型ステーキングはいつでもアンステークを申請でき、手続きに数日かかります。バリデーター型は自分で退出を申請でき、順番待ちとスイープの時間がかかります。今回の事故で引き出しを止めるという発表はありません。
Q. stETHは売ったほうがいいですか?
Lidoは「stETHの保有者は何もする必要がない」と発表しています。10月1日14時53分時点で1 stETH=約0.9995 ETHと、価格のずれもほとんどありません。売るかどうかはご自身で判断してください。
Q. 退出したバリデーターのETHはいつ戻りますか?
Lidoで運用されていた分は、10月7日中に退出が完了し、その後の引き出しと再預け入れを経て、最大で約45日でLidoに戻る見込みです。Lubin氏は、鍵を交換するために退出してから再びステーキングの順番待ちに並ぶため時間がかかると説明しています。Lido以外の分の日程は公表されていません。
Q. シークレットリカバリーフレーズや秘密鍵を変える必要はありますか?
Lubin氏は10月3日の声明で、シークレットリカバリーフレーズと鍵は今回の事故の対象外だと説明しています。MetaMaskからも、フレーズや鍵を変えるよう求める指示は出ていません(10月9日時点)。「フレーズを入力して確認」「新しいウォレットへ移行」と求める連絡は詐欺です。
Q. 「補償を受け取れる」というメールやDMが来ました。
今回の件で、MetaMaskもLidoも補償の手続きを発表していません。リンクを開かず、リカバリーフレーズの入力や署名をしないでください。MetaMaskのメールは、自分で開いた問い合わせへの返信として support@metamask.io からだけ届きます。
Q. Lubin氏関連ウォレットのETH送金は今回の事故と関係ありますか?
関係を示す情報はありません。10月3日のLubin氏本人の声明も、この送金には触れていません。送金はMetaMaskの発表の約4時間前で、送金先のアドレスにETHはそのまま残っています(10月1日15時時点)。
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本記事の情報は2026年10月3日10時(日本時間)時点のものです(Lidoのバリデーター数と送金先の残高は10月1日15時時点)。MetaMaskの公式発表は、10月1日の続報([OCT 1 – UPDATES])まで反映しています(2026年10月3日10時確認。公式サイトのページに10月2日以降の追記はありません)。10月3日のJoseph Lubin氏の声明(MetaMask公式Xが再投稿)も反映しています。MetaMask・Lidoの公式発表、MetaMaskヘルプセンター、ブロックチェーン上の記録をもとに作成しています。続報が出しだい追記します。本記事は投資の助言ではありません。




