【2026年10月1日追記】BitMartが再建案を発表しました
- BitMartは7月に取引所の終了を発表しましたが、その後出金を制限し、2026年10月1日(日本時間)に「再建案(最初の案)」を公表しました
- 案では、各利用者の残高を米ドルに換算し、裁判所の承認を受けた計画にもとづいて分配します。いつもの出金で全額を取り出す形ではありません
- 受け取り方は3つ(すぐ受け取る分配/2021年のハッキング被害金の回収に連動するトークン/BitMartの投資などに連動するトークン)から選び、組み合わせることもできます
- 選ぶ期限の日付はまだ決まっていません。10月は意見募集、裁判所への申請は2026年12月〜2027年1月が目標です
- 「請求の代行」「資産の回収」をうたうサイトや連絡に注意してください。BitMartは手数料の前払いを求めません
詳しくは本文のBitMartの再建案の見出しで説明しています。
【2026年9月23日追記】BitMEXは9月23日13時(日本時間)に閉鎖しました。閉鎖後の出金方法と、残高を残した場合の手数料はこちらの記事で詳しく解説しています。
2026年7月、暗号資産業界で大手海外取引所の撤退・閉鎖発表が相次いでいます。デリバティブ取引所の老舗BitMEX(ビットメックス)、そして現物・先物の両方を扱うBitMart(ビットマート)が、いずれも数週間のうちに事業終了を発表しました。本記事では両社の発表内容を整理し、今後海外取引所を選ぶ際に確認しておきたいポイントをまとめます。
BitMEXから出金した資産の移し先や、次に使う取引所を探している人は、撤退・金融庁の警告の状況まで含めて海外取引所8社を比べた海外仮想通貨取引所おすすめランキングを参考にしてください。比べるときの見方は、記事の最後の「海外取引所選びで見るべき5つのポイント」で説明しています。
BitMEX:11年の歴史に幕、9月23日に閉鎖
まず、暗号資産デリバティブ取引所BitMEXは7月23日、取引所サービスを2026年9月23日13:00(日本時間)に終了すると公式Xで発表しました。BitMEXは2014年にアーサー・ヘイズ氏らが創業し、2016年には世界で初めてビットコインの無期限スワップ(perpetual swap)を提供したことで知られる、業界の草分け的存在です。
運営会社HDR Global Trading Limitedの取締役会が、事業と暗号資産業界全体を戦略的に見直した結果としており、具体的な理由は明らかにされていません。破綻やハッキングなど資金面のトラブルによるものではないとされています。
- 7月23日:新規口座登録を即時停止
- 8月26日13:00(日本時間)以降:新規ポジションの構築・積み増しが不可に(既存ポジションの縮小のみ可能)
- 9月23日13:00(日本時間):取引所サービス終了、残存ポジションは強制決済
サービス終了後もログインして残高確認・出金は可能ですが、KYC済みの口座に残高を残すと、年1%(月ごとに徴収)、残高が50ドル相当以下の口座は50ドル相当の口座手数料が全額出金まで差し引かれ、今後引き上げられる予定です(BitMEX公式ブログ)。そのため、BitMEXを利用しているユーザーは早めのポジション整理と出金が推奨されます。
BitMart:7月に終了を発表、10月に再建案(残高をドル換算して分配)
BitMEXの発表から3日後の7月26日、現物・先物の両方を取り扱う大手取引所BitMartも、取引プラットフォームの段階的な終了を発表しました。2017年の設立から約9年間運営を続けてきた老舗取引所の撤退となります。同社は事業運営の状況や市場環境、今後の戦略を総合的に検討した結果、秩序ある形で取引所を終了することを決定したとしています。
また、発表と前後してBitMartの独自トークンBMXは急落し、一時70〜80%超の下落となりました。加えて一部ユーザーからは出金の遅延・停止を訴える声も上がっており、Arkhamが特定したBitMart関連ウォレットの資産残高も7月6日時点の約1億200万ドルから7月27日には約6900万ドルまで減少するなど、資金面での不安も広がっています。
- 7月26日1:30(UTC):新規アカウント登録・暗号資産・法定通貨の入金を停止
- 同日以降:先物取引はリデュースオンリー(決済のみ可)モードに移行、現物取引も新規注文の受付を停止
- 8月26日:現物・先物を含む全ての取引サービスを停止
- 2027年1月31日15:59(UTC):プラットフォームを完全停止(7月26日の告知時点の予定。その後、出金が制限され、10月1日に再建案が出ています。下の見出しで説明します)
BitMEXとは異なり、BitMartについては出金遅延の報告や資産残高の減少など、資金繰りに関する懸念が指摘されていました。その後BitMartは出金を制限し、8月21日に「全面終了に代わる再建案」の検討を発表、10月1日(日本時間)に具体的な案を公表しています。
BitMartの再建案(2026年10月1日発表):利用者は何を選ぶ?
BitMartの再建案は、利用者の残高を米ドルに換算し、裁判所の承認を受けた計画のもとで、3つの受け取り方から選んで分配を受ける仕組みです。通常の出金のように、好きなときに暗号資産をそのまま送り出せるわけではありません。発表は「最初の案(Initial Indicative Proposal)」で、10月の意見募集をへて変わる可能性があります。
7月の終了発表から何が変わった?
BitMartの公式ヘルプセンターに出た告知を、日付の順に並べました。
| 日付(UTC) | BitMartの発表 |
|---|---|
| 2026年7月26日 | 取引所を段階的に終了すると発表。8月26日に全取引を停止し、2027年1月31日に運営を終える予定。運営終了後も一定期間は出金申請ができると説明 |
| 2026年8月21日 | 全面終了に代わる「再建案」を検討すると発表。法律事務所White & Caseを再建の代理人に起用 |
| 2026年9月9日 | 財務アドバイザーにAlvarez & Marsal(A&M)を起用。これまでの出金制限で利用者に不安を与えたと認める |
| 2026年9月16日 | 利用者の意見を集める窓口(bitmart.com/portal)を開設。窓口は意見の受付用で、出金を個別に処理する場所ではないと説明 |
| 2026年9月30日(日本時間10月1日) | 再建案(最初の案)と今後の予定を発表。残高をドル換算し、3つの受け取り方から選ぶ |
BitMartは、2021年12月のハッキングで約3億1,950万ドル(2021年12月4日時点の換算)の資産を失って財務に穴が開いていたこと、2026年に先物の手数料還元を悪用した取引で収益が落ちたこと、5月以降のSNSでの攻撃をきっかけに出金が集中したことを、今回の発表で経緯として説明しています。ある投資家が提案した1,000万ドルの資金注入は、足りないとして採らなかったとしています。
残高はどうドルに換算される?
口座にある各トークンを、2026年7月26日から「基準時点(Record Time)」までの加重平均価格で米ドルに換算します(ドル換算残高)。基準時点の日付は、まだ発表されていません。換算と金額の認定は、裁判所が選んだ担当者が独立した立場で行うとされています。7月26日の価格だけで決まるわけではない点に注意してください。
3つの受け取り方の違い(どれを選ぶかは利用者が決める)
ドル換算残高は、次の3つのうち1つ、または組み合わせに替えます。下の表は発表に書かれた事実だけをまとめたもので、当サイトはどれかを勧めるものではありません。
| 比べる点 | ① すぐ受け取る分配 | ② 返還トークン(Restitution Token) | ③ 継続トークン(Continuum Token) |
|---|---|---|---|
| 何を受け取る | BitMartが今持っている資産から、残高の割合に応じた分配 | ドル換算残高1ドルにつき1単位のトークン | 新しく発行されるトークン |
| 中身・裏付け | 法定通貨、USDC・PYUSD・USDT、BTC・ETH・SOL | 2021年のハッキングで盗まれた資産の回収分。BitMartは「一部が中央集権型の取引所にある」との調査結果があるとしている | BitMartの投資、売るのに時間がかかる資産(未上場企業への投資・アルトコイン)の売却代金、事業を再開できた場合の将来利益の一部 |
| 受け取る時期 | 計画の承認後すぐ(BitMartは「すぐ抜けたい人向け」と説明) | 回収が進んだとき。時期は決まっていない | 資産の売却には長い期間がかかる見込みとされる。トークンはDEXで売買できる設計 |
| BitMartの説明 | 今ある流動性の高い資産で、すぐ抜けられるようにする案 | ②③は受け取りが遅れる代わりに、回収できれば総額が多くなる可能性がある、と説明 | 事業の再開は「十分な資金が得られた場合だけ」とされている |
| まだ分からないこと | 分配率(%) | 回収できる額と時期 | 対象資産の明細(意見募集の後に詳しい資料で出すとしている) |
各案でどれくらい戻るかの見込み(%)は、まだ出ていません。BitMartは、見込みを示す報告書を全利用者に共有するとしています。比べるときは、この報告書が出てから、①は「今の資産でいくら戻るか」、②③は「何がいつまでに回収・売却される前提か」を確かめてください。②③の管理費用や訴訟費用は、経営陣が劣後の資金で負担する予定とされています。
期限と今後の予定
| 時期 | 予定(発表どおり) |
|---|---|
| 今後3〜4週間 | BitMartとアドバイザーが、残高の大きい上位50人の利用者に案の詳細を相談する |
| 2026年10月 | 意見募集の期間。利用者は意見窓口から案への意見を出せる |
| 2026年11月 | 意見をふまえて案を修正 |
| 2026年12月〜2027年1月 | 経営陣が裁判所に計画を申請する目標の時期。裁判所が選んだ担当者によるドル換算残高の認定が始まる(裁判所の承認しだい) |
| 未定 | 受け取り方を選ぶ期限(Election Deadline)。計画が必要な承認を得た少し後の予定とされ、日付は出ていない |
今の時点で、受け取り方を選ぶ手続きはまだ始まっていません。どの国の裁判所に申請するかも、発表には書かれていません。
BitMartに残高がある人が今やること
- 残高と履歴を保存する:公式サイトか公式アプリにログインし、残高・入出金履歴・取引履歴を画面保存やダウンロードで残す(7月26日の告知でも保存を求めている)。ドル換算残高の認定や、税金の計算で使う
- 登録メールアドレスを確認する:BitMartからの連絡は、登録メール・公式アプリのお知らせ・公式サポートで届く。古いアドレスのままなら、受け取れる状態にしておく
- 意見を出したい人は公式の意見窓口へ:bitmart.com/portal を開き、種類で「User Engagement Portal」を選ぶ。登録メールアドレスで送り、support@bitmart.zendesk.com から届く確認メールのリンクを押すと受付が完了する。窓口は意見の受付用で、送っても口座や資産の状態は変わらない。1つの問題につき1件だけ送る
- 案への質問:発表では、A&MとWhite & Caseの窓口として AlvarezMarsal@bitmart.com が案内されている
- 見込み回収率の報告書を待つ:3つの受け取り方は、報告書の数字を見てから比べる。選ぶ期限は、今後の公式発表で確認する
偽の「請求」「資産回収」サイトに注意
取引所の破綻や再建のときは、BitMartや弁護士をかたる偽サイト・偽メールが出やすくなります。BitMartは公式告知で、次のことを明らかにしています。
- 公式の意見窓口は bitmart.com/portal だけ。確認メールは support@bitmart.zendesk.com からだけ届く。ほかの「フィードバック」「請求(claims)」「資産回収」のリンクや連絡は無視するよう求めている
- Telegram・WhatsApp・WeChat・個人のSNSアカウントで、「手続きを早める手数料」「凍結解除の手数料」「保証金」を求めることはない。お金を払って優先的に出金できる仕組みもない
- パスワード、SMSや認証アプリのコード、秘密鍵、リカバリーフレーズを聞くことはない
「代わりに請求して取り戻します」「手数料を払えば先に分配を受けられます」と言われたら、払わずに消費者ホットライン188か警察相談専用電話#9110に相談してください。出金トラブルのほかの事例と相談先は、海外取引所から出金できない原因と対処法と仮想通貨の詐欺・出金停止・金融庁警告の一覧にまとめています。
BitMartの再建案についてよくある質問
Q. 「2027年1月31日まで出金申請できる」は今も有効?
A. 7月26日の告知にはこの記載が残っていますが、BitMartはその後に出金を制限したと認め、10月1日の案では残高をドル換算して計画で分配するとしています。いつもの出金で全額を取り出せる前提ではなくなったと考え、最新の公式発表を確認してください。
Q. 何もしないとどうなる?
A. 受け取り方を選ぶ期限は未定で、選ばなかった場合の扱いも発表されていません。今は残高と履歴を保存し、登録メールと公式発表を確認できる状態にしておくことが大切です。
Q. どの受け取り方を選べばいい?
A. 見込みの回収率(%)がまだ出ていないため、今の時点では比べられません。BitMartが報告書を出したら、上の表の「受け取る時期」「裏付け」とあわせて、ご自身で判断してください。
出典:BitMart公式ヘルプセンター「Announcement on BitMart’s Initial Indicative Proposal and Roadmap」(2026年9月30日 UTC)、BitMart公式X(2026年9月30日 16:54 UTC)、「Important Notice Regarding the Orderly Cessation of BitMart Operations」(2026年7月26日)、「Update Regarding BitMart’s Potential Restructuring and Business Resumption Plan」(2026年8月21日)、「Update on the Appointment of Alvarez & Marsal」(2026年9月9日)、「Announcement on the Launch of the BitMart User Engagement Portal」(2026年9月16日)。2026年10月1日確認
海外取引所選びで見るべき5つのポイント
このように、大手取引所であっても、経営判断や市場環境の変化によって突然の閉鎖に至るケースは今後も起こり得ます。海外取引所を利用・選定する際は、以下のポイントを確認しておくと安心です。
- Proof of Reserves(資産証明)の有無:定期的に第三者機関の監査や自社ウォレットの残高を公開しているかを確認する。
- 規制・ライセンスの取得状況:金融当局からの認可や登録があるかどうかは、経営の健全性を測る一つの指標になる。
- 出金のしやすさ:普段から少額でも出金テストを行い、処理速度や手数料に問題がないかを把握しておく。
- 資産の分散管理:一つの取引所に資産を集中させず、複数の取引所やハードウェアウォレットに分けて保管する。
- 公式発表のチェック体制:公式X(旧Twitter)やブログなど、取引所からのアナウンスを定期的に確認できる状態にしておく。
BitMEX・BitMartのように、突然の閉鎖発表から資産保全までの期間が限られているケースや、BitMartのように途中で出金が制限され、裁判所の手続きによる分配を待つことになるケースもあります。「大手だから安心」と資産を預けたままにせず、日頃から取引所リスクを意識した資産管理を心がけましょう。
取引所選びに迷ったら、当サイトの海外仮想通貨取引所おすすめランキング8選もあわせてご参照ください。信頼性や手数料、日本語対応状況などを比較しています。




