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「Papertradeって何?」「負けるとPAPERがもらえるって本当?」「勝った人にお金を払えないって聞いたけど、大丈夫?」
2026年10月10日、Hyperliquidの上で動く新しい取引所「Papertrade(ペーパートレード)」が取引を始め、英語圏のXで大きな話題になりました。ここでいうPapertradeはサービスの名前で、練習用の「デモ取引(ペーパートレード)」のことではありません。この記事では、Papertradeの公式ドキュメントと公式X、そして取引所のコントラクトを直接読んだ値をもとに、仕組みとリスクを整理します。
この記事の結論(2026年10月13日時点、10月20日に公式の変更の告知を追記)
- Papertradeは、Hyperliquidのスマートコントラクト層(HyperEVM)で動く、最大1000倍のPerp DEX(無期限先物の分散型取引所)です。取引の相手は他の利用者ではなく、運営のプール(LP)です。
- PapertradeのLPは0ドルから始まり、利用者の負けが勝った人への支払い元になります。LPのお金が足りないときは、勝ち分が先着順の待ち行列(Queue Debt)に入り、後から出た誰かの負けで払われます。
- PAPERは、負けた人にだけ配られるトークンです。LPが200万ドル未満のあいだは損失1ドルにつき100枚。エアドロップではなく、当面は送金も売買もできません(ステーキングだけ)。
- (10月20日追記)Papertrade公式は、PAPERを外へ送れるようにする予定は今のところないと発表しました。あわせて、建値のすぐ近くで決済した取引の手数料の見直しと、PAPERの発行の仕組みの変更(早くから持っている人の比率は少しずつ薄まる方向)を告知しています。反映の日付は決まっていません(公式Xの告知、2026年10月20日確認。詳しくは2026年10月の変更点)。
- 「勝った人に払えない」というX上の主張は、公式・大手メディアでは確かめられていません。当サイトが最後にコントラクトを読んだ10月12日15時5分の時点で、勝ち分の待ち行列は0ドルでした(この値は公式の集計でしか見られず、10月13日の値は確かめられていません)。一方で、取引所が持つUSDC(利用者の残高とLPの合計)は、DefiLlamaの集計で10月13日に約6,090万ドルと、10月11日3時59分の約1億2,183万ドルから約半分に減っています(出金が入金を上回っている状態)。
- 1000倍は、約0.05%の逆行で証拠金を全部失う水準です。運営自身が価格操作のリスクを「未解決」と書いています。10月12日には米国の暗号資産メディアThe Blockが、1つのウォレットがHyperliquidのETH価格を動かす取引をしながら、Papertradeから入金より約128万ドル多く出金していたことを、取引データで確かめて報じました。Papertrade公式も、建玉の上限(OI上限)を緩くしていたために「操作の試み」ができたと認め、上限を引き締めていると説明しています。初めての人は様子を見るのが無難で、試すとしても失ってよい少額にとどめてください。
Papertradeとは?1000倍・手数料0のPerp DEX
Papertradeは、Hyperliquidの価格を使って、利用者と運営のプールが直接勝負する1000倍のPerp DEXです。注文板(オーダーブック)はなく、ボタンを押すとHyperliquidの最良の買い値と売り値の真ん中(BBO中値)で、すぐに建玉が作られます。
Hyperliquidの上で実際の先物を売買しているわけではありません。Papertradeのコントラクトが価格だけをHyperliquidから読み取り、損益をプールとの間で精算します。公式ドキュメントはこれを「合成スワップ(synthetic swap)」と呼んでいます。
| 項目 | Papertradeの内容(2026年10月11日時点) |
|---|---|
| 動いている場所 | HyperEVM(Hyperliquidのスマートコントラクト層)。USDCはHyperliquid本体(HyperCore)に置かれる |
| 取引開始 | 2026年10月10日 14:00(UTC)=日本時間 23:00。事前入金は10月8日から |
| 銘柄 | BTCとETHの2つ |
| 最大レバレッジ | 1000倍 |
| 取引の相手 | 運営のプール(LP)。他の利用者ではない |
| 取引手数料・資金調達料・スプレッド | なし。代わりに勝ったときだけ勝ち分が削られ、さらに2%の手数料 |
| 1ポジションの上限 | 1,000万ドル(証拠金×レバレッジ) |
| 入金できるもの | Hyperliquid・HyperEVM・イーサリアム・Arbitrum・SolanaのUSDC、Robinhood ChainのUSDG。最低10USDC、初回は有効化の手数料1USDC |
| 独自トークン | PAPER(負けた人にだけ発行。送金・売買できず、ステーキングのみ。10月20日、公式は「外へ送れるようにする予定は今のところない」と発表) |
| 公式サイト | papertrade.xyz(公式Xは「公式のドメインはこれだけ」と偽サイトに注意を呼びかけている) |
出典:Papertrade公式ドキュメント(What is Papertrade?/FAQ/Deposits and withdrawals)、公式X(10月10日)。2026年10月11日確認
取引の手間は少なく作られています。最初にウォレットで1回署名すると「セッションキー」が登録され、その後の注文ではウォレットの確認画面が出ません。ガス代は運営のリレイヤー(取引をまとめて送る仕組み)が払います。セッションキーで出金はできず、出金には必ず本人のウォレットの署名が要ります(公式ドキュメント「Session keys」)。
Papertradeの仕組み:相手は運営のプール、負けが勝ちの支払い元
Papertradeでは、利用者が負けたお金がプールに入り、勝った人への支払いはそのプールから出ます。ふつうの取引所のように、運営が先にまとまったお金を用意しているわけではありません。
LP(運営のプール)は0ドルから始まる
公式ドキュメント「The LP and the payout queue」は、LPについて「0ドルから始まる。元手も、創業者の入金も、LPの募集もない」と書いています。LPは利用者の負けが積み上がって大きくなります。利用者がLPにお金を預けることはできません(HyperliquidのHLPとの大きな違いです。下の表で比べます)。
公式ドキュメントの「The LP」の説明。赤枠に「It starts at $0(0ドルから始まる)」とあり、運営が元手を入れていないことがわかります。出典:Papertrade Docs「The LP and the payout queue」、2026年10月11日撮影
勝ち分が払えないときは「待ち行列(Queue Debt)」に入る
Papertradeでは、LPのUSDCが足りないとき、勝ち分のうち払えない部分が先着順の待ち行列に入ります。統計画面では「Queue Debt(待ち行列の借り)」として表示されます。待ち行列は前から順に、後から出た利用者の負けで払われていきます。
お金の流れ(公式ドキュメントの図を日本語にしたもの)
- 負けた人:失った証拠金がLPに入る + PAPERがもらえる
- 勝った人(LPにお金がある):勝ち分がすぐに払われる
- 勝った人(LPが足りない):元の証拠金はすぐ戻る。勝ち分の足りない部分は待ち行列に入る
- 待ち行列:次に誰かが負けると、そのお金で前から順に払われる
公式ドキュメントは、待ち行列に入った勝ち分を「本物のオンチェーンの借り。返金でも減額でもなく、ただの遅れ」と説明しています。元の証拠金は待ち行列に入らず、すぐに残高へ戻ります。待たされるのは勝ち分だけです。
ただし、待ち行列がいつ払い終わるかは、ほかの利用者がどれだけ負けるかで決まります。取引する人が減れば、払いは進みません。公式ドキュメントのもとになった論文(Martingaler)にある「詰まった人の抜け道」の仕組みは、今のPapertradeには入っていないと公式ドキュメントに書かれています。
清算は新しい注文より先に処理される
Papertradeでは、清算(ロスカット)が新しい建玉より優先されます。公式Xの10月1日の告知は、ローンチ時の注文を「取引の種類と金額で重みづけして並べる。たとえば清算は新規の建玉より重要」と説明しています。公式ドキュメント「Liquidations」も、清算の担当プログラム(キーパー)がほかのどの取引より高い優先手数料を払い、清算を先に通すと書いています。
清算は「全額没収」です。表示された清算価格に触れると、その建玉の証拠金は全部なくなります。直前に自分で決済していれば少し戻ったはずの場合でも同じです。
HyperliquidのHLPと何が違う?
「利用者の反対側に立つプール」という点では、Hyperliquid本体のHLP(Hyperliquidのプール)と似ています。ただし、お金の入り方と、勝った人への払い方が違います。
| 項目 | Papertradeの LP | Hyperliquid の HLP |
|---|---|---|
| お金の出どころ | 利用者の負けだけ(0ドルから開始) | 利用者が預けたUSDC |
| 利用者が預けられるか | ×(預けられない。PAPERを持つことが唯一の関わり方) | ○(預けた後4日間は引き出せない) |
| 取引の相手 | すべての取引の相手がLP | 注文板の参加者の1人(マーケットメイク・清算の引き受け) |
| 勝った人への支払い | LPが足りなければ待ち行列で後払い | 注文板で決まり、相手の損益と相殺 |
| 価格 | HyperliquidのBBO中値を借りる | Hyperliquid自身の注文板 |
出典:Papertrade公式ドキュメント(The LP and the payout queue/Trades and pricing)、当サイトのHLP解説記事。2026年10月11日確認
PAPERトークンとは?負けると配られる・当面は売れない
PAPERは、Papertradeで負けた人(損失で決済した人・清算された人)にだけ発行されるトークンです。発行の量は最初0枚で、運営・ベンチャーキャピタルへの割り当ても、エアドロップもありません(公式ドキュメント「Paper Emissions」)。
損失1ドルにつき100枚。LPが大きくなると減っていく
もらえる枚数は、LPの大きさで変わります。LPが200万ドル未満のあいだ(LPがマイナスのときも含む)は、損失1ドルにつき100枚です。200万ドルを超えると、LPが増えるほど少しずつ減ります。これは10月20日時点の仕組みで、公式は発行の決め方を変える予定と告知しています(下の「2026年10月の変更点」)。
| LPの状態 | 損失1ドルあたりのPAPER | 例:10ドル負けたとき |
|---|---|---|
| 200万ドル未満(マイナスを含む) | 100枚 | 1,000枚 |
| 200万ドルを超えて、さらに1億ドル分たまった後 | 約30枚 | 約300枚 |
出典:Papertrade Docs「Mint curve」(減り方の式と、累計1億ドルで約30枚になる例)。2026年10月11日確認
公式ドキュメントは「早く参加した人ほど、1ドルの負けで多くのPAPERをもらえる。早い時期はリスクが大きいので、そのぶん多く報いる設計」と書いています。
ステーキングすると、USDCの分配がもらえる
PAPERはステーキング(預け入れ)すると、Papertradeの収入の一部をUSDCで受け取れます。ステーキングも解除もすぐにでき、ロック期間はありません。分配の出どころは2つです(公式ドキュメント「Staking Dividends」)。
- 2%の手数料の半分:勝ったときの手数料と、負け・清算のときにLP側から差し引く手数料。残りの半分は開発者側に入ります。待ち行列が残っているあいだは、この手数料は払われません(待っている勝ち分が先)。
- LPの上限を超えた分:LPが上限(10月11日時点で500万ドル)を超えると、超えた分はすべてステーキングした人に配られます。
この上限は、取引開始の翌日にさっそく変わることが決まりました。公式Xは10月10日18時46分(UTC)、10月17日18時45分(UTC)=日本時間10月18日3時45分すぎに、上限を500万ドルから1,000万ドルへ引き上げると告知しています。上限が上がると、LPに残るお金が増え、ステーキングした人へ回る分はそのぶん後になります。
公式Xが10月10日16時22分(UTC)に「これまでにPAPERのステーキングへ850万ドルを分配」と添えて投稿したグラフ。取引開始(日本時間23時)の直後の1〜2時間に分配が集中していることがわかります。出典:Papertrade公式X、2026年10月11日確認
PAPERは売れる?エアドロップ?
PAPERは、ローンチの時点では他人に送ることも売ることもできません。できるのは、もらう・ステーキングする・解除する、の3つだけです。公式Xの10月1日の告知は、送金できるようにするのは「十分な期間がたった後」としていましたが、10月20日の発表で「今の時点では、コントラクトの外へ送れるようにする予定はない」に変わりました(公式Xの告知、2026年10月20日確認。理由は次の節)。PAPERはエアドロップではなく、Papertradeで実際に損をした人にだけ発行されます。
2026年10月の変更点(手数料・PAPER)
Papertrade公式は日本時間10月20日7時30分、PAPERを外へ送れるようにしない方針と、手数料・PAPERの発行の仕組みの変更を告知しました。変更はコントラクトの更新(アップグレード)で入り、10月20日11時25分の時点では、まだ反映されていません(Papertrade公式Xの告知、2026年10月20日確認。公式ドキュメントも各ページ「Last updated: 2026-10-06」のまま)。
| 項目 | 今(10月20日時点) | 変更後(公式の告知) |
|---|---|---|
| PAPERの送金・売買 | できない(ステーキングと解除だけ) | 今のところ、コントラクトの外へ送れるようにする予定はない |
| 建値の近くで決済した取引 | 勝ちは、建値から0.2bps(0.002%)分を差し引いて計算(それより小さい勝ちは0) | 取引の多い時間帯は建値から0.06%以内、少ない時間帯は0.1%以内で決済したポジションだけ手数料が変わる。それより動いて決済した取引の手数料は変わらない。時間帯の区切りと新しい率は未公表 |
| 建玉の上限(OI上限) | 価格操作の問題のあと、引き締めている | 手数料の変更で、少し広げられる見込み(公式の表現は「〜できればと考えている」) |
| PAPERの発行 | LPが200万ドル未満(マイナスを含む)なら損失1ドルにつき100枚。それより上はLPが増えるほど減る | 損失1ドルごとに、その時点の供給量の一定割合(100万ドルの損失で約0.1%、正確な率は更新時に決まる)。債務超過とその近くでは、100枚の固定から、時間とともに伸びる倍率の方式へ |
| ビルダーコード | 未開始(ドキュメントは「準備中」) | 今回の更新に含める。最初はホワイトリスト(許可された相手だけ)。詳細は今週中に告知 |
| 反映の時期 | ― | ドキュメントに1日のうちに載せ、タイムロックに入れた時点で改めて告知し、その24時間後に反映予定。日付は未定 |
出典:Papertrade公式Xの告知(2026年10月19日22時30分UTC=10月20日7時30分JST)。「今」の列は公式ドキュメント(Asymmetric impact PnL/Paper Emissions/Builder codes)。2026年10月20日確認
PAPERを外へ送れるようにしない理由
PAPERを自由に送れるようになると、ほかの取引所でPAPERの先物が作られ、PAPERを空売りできるようになります。公式によると、PAPERの値段はPapertradeのLPが払えるかどうかに強く結びついているため、先物で空売りできると、価格操作の攻撃の損得が変わります。
公式が挙げた例では、LPが1,000万ドルのとき、ビットコインやイーサリアムの価格を動かすのに1,500万ドルかかる攻撃は、成功しても赤字なので割に合いません。ところがPAPERを1,000万ドル分空売りしておけば、同じ攻撃が割に合ってしまいます。Papertradeは自分のLPの大きさは上限で抑えられますが、外の先物市場は止められません。このため公式は「今の時点では、コントラクトの外へ送れるようにする予定はない」としています。上場前の先物を出そうとした取引所があったことにも触れています(公式Xの告知、2026年10月20日確認)。
読者への影響としては、PAPERは引き続き、売って現金に換えることができません。受け取れるのはステーキングによるUSDCの分配だけで、その分配もほかの利用者の負けで増える仕組みです(上の「2026年10月の変更点」の表のとおり、発行の仕組みも変わります)。
手数料の変更で何が変わる?対象は建値から0.06〜0.1%以内の決済
今のPapertradeは、勝ちを計算するときに建値から0.2bps(0.002%)分を差し引きます。公式ドキュメントは、これより小さい勝ちは0になると説明しています(Asymmetric impact PnL、2026年10月20日確認)。公式は、この幅が小さいため、ごく短い時間で売買を繰り返すbotがLPに対して有利になっていたと説明しています。
変更後は、Hyperliquidの注文板が厚い「取引の多い時間帯」と、薄い「少ない時間帯」で扱いを分けます。手数料が変わるのは、取引の多い時間帯に建値から0.06%以内、少ない時間帯に0.1%以内で決済したポジションだけで、それより動いてから決済した取引の手数料は変わりません。公式は、ローンチからの実績で見ると、この変更がbotの戦略の収益に与える影響は、普通のトレーダーの約15倍だとしています。ただし、どの時間を「多い時間帯」とするかと、対象の取引にかかる新しい率は、10月20日の時点で公表されていません。公式は、それでも緩すぎればさらに見直す可能性があり、その場合は前もって知らせるとしています(公式Xの告知、2026年10月20日確認)。
目安:BTCが10万ドルのとき、対象になる値動きの幅(Coin Map試算)
- 取引の多い時間帯:建値から約60ドル以内(0.06%)で決済した取引
- 取引の少ない時間帯:建値から約100ドル以内(0.1%)で決済した取引
- 1000倍の建玉は約0.052%(約52ドル)の逆行で清算されるため、1000倍では「清算の幅と同じくらいの小さな値動きで利益を確定する取引」がちょうど対象になります
BTC10万ドルは計算のための仮の値。0.06%・0.1%は公式Xの告知、約0.052%は公式ドキュメント「Liquidations」の値をもとに、Coin Mapが2026年10月20日に計算。上の「勝っても、小さい勝ちは大きく削られる」の計算例(0.1%上がって決済)は、少ない時間帯の基準のちょうど境目にあたり、扱いが変わるかは公式の細かい条件しだいです
PAPERの発行の変更で何が変わる?古い保有者の比率は薄まる方向
今は、LPが200万ドル未満(マイナスを含む)なら損失1ドルにつき100枚と、枚数で決まっています。変更後は、損失1ドルごとに「その時点のPAPERの供給量の一定割合」が発行される形になり、公式は100万ドルの損失で供給量の約0.1%としています。正確な率は、コントラクトを更新する時点の発行率で決まります。また、LPが債務超過やその近くにあるときは、損失1ドルにつき100枚の固定をやめ、時間とともに伸びる倍率の方式に変えます。公式はこれを「運営が自分の将来の収入を割り引いて売る仕組み」と説明しています(公式Xの告知、2026年10月20日確認)。
当サイトが2026年10月20日11時25分にHyperEVMのコントラクト(PaperToken、アドレスは公式ドキュメント「Contract addresses」)から直接読んだPAPERの供給量は約88億枚(8,801,018,804枚、ブロック49,009,876)でした。この数字で当てはめると、100万ドルの損失で約880万枚、損失1ドルあたり約8.8枚になります(Coin Map試算。供給量は損失のたびに増え、正確な率も更新時に決まるため、目安です)。
公式は、この変更の影響は当面はごくわずかとしつつ、長い目で見ると早くから持っている人の比率を少しずつ薄め、新しく使う人が有利になると書いています。大きな両建てのうち勝っている側だけを決済して一時的に債務超過にし、PAPERを多く発行させる攻撃(ストラドル攻撃)を防ぐ目的もあります。PAPERを持っている人にとっては、持っている枚数の全体に占める割合が今後どう変わるかに関わる変更です。
いつ反映される?「24時間後」と「7日間」
公式は、変更の全文を1日のうちにドキュメントに載せ、最終のセキュリティ確認を待ってタイムロック(運営の変更をすぐには実行できないよう、予約してから待たせる仕組み)に入れた時点で改めて告知し、その24時間後に反映する予定としています。一方で、公式ドキュメント「Contract addresses」と10月10日の公式Xは、運営の変更はタイムロックで7日間待つと説明しており、2つの関係について公式の説明はありません(2026年10月20日確認)。反映の日付ははっきりしないため、取引する人は公式Xの次の告知を確かめてください。当サイトも、反映を確認したらこの節を更新します。
ローンチ初日の数字と、Xで言われていること
取引開始からの数字は、出どころと時刻で大きく違います。ここでは、公式・オンチェーンで確かめた値と、X上の投稿だけにある主張を分けて書きます。
公式・オンチェーン・大手メディアで確かめた数字
| 数字 | 値 | 時刻(日本時間)・出どころ |
|---|---|---|
| 勝ち分の待ち行列(Queue Debt) | 0ドル | 10月12日 15:05時点、取引コントラクトの値(totalQueued)を当サイトが直接読み取り(10月11日 3:59・8:58・10:14も0ドル)。公式の集計でしか見られない値で、10月13日の値は確かめていない |
| 取引所が持つUSDC(利用者の残高+LP) | 約6,170万USDC(10月12日 15:05時点。10月11日 3:59の約1億2,183万から約49%減。10:14は約9,861万) | 10月12日 15:05、Hyperliquid公式APIの残高(10月13日の値は下のTVLの行) |
| 取引所からの出金/取引所への入金 | 出金 約4,463万ドル(2,068件)/入金 約2,138万ドル(2,707件) | 10月11日 3:59〜10:14、Hyperliquid公式APIの送金記録を当サイトが集計 |
| LP(勝った人への支払いに使うプール) | 約433万ドル(10月12日 15:05時点。10月11日 10:14は約355万ドル) | 10月12日 15:05、Papertrade公式の集計。公式Xは10月12日0:42に「LPは500万ドル」と説明。10月13日の値は確かめていない(protocol summary) |
| 建玉の証拠金の合計 | 約605万ドル(10月12日 15:05時点。10月11日 10:14は約1,931万ドル) | 10月12日 15:05、Papertrade公式の集計。10月13日の値は確かめていない(protocol summary) |
| TVL(預かり資産) | 約6,090万ドル(10月11日 9:33は約1億209万ドル) | 10月13日、DefiLlama。取引所コントラクトが持つUSDC(利用者の残高+LP)の合計 |
| 手数料とトークン保有者への分配 | 手数料 約2,786万ドル、うちPAPERの保有者(ステーキング)への分配 約2,619万ドル | 10月13日、DefiLlama(直近30日の集計=10月10日のローンチ以降の合計。LPの利益のうち上限超過分の分配を含む) |
| ステーキングへの分配の累計 | 2,500万ドル(10月11日 1:22の公式Xでは850万ドル) | 10月12日 0:42、公式X |
| 開始10分の出来高(名目) | 144億ドル | 10月10日、Crypto Briefing |
| 開始直後の建玉(名目) | BTC 30億ドル/ETH 26.6億ドル | 10月10日、Crypto Briefing |
| 事前入金 | 約8,500万〜1億3,800万ドル、1万1,000超のアドレス | 10月10日、Crypto Briefing(推計) |
出典:HyperEVMのRPC(取引コントラクト 0x6cd5661646289fb6e65ea5c032310fded797d0a2)、Hyperliquid公式API(残高・送金記録)、Papertrade公式の集計(protocol summary)、DefiLlama、公式X、Crypto Briefing。出来高と建玉は「レバレッジをかけた後の金額」で、実際に預けられたお金よりずっと大きく見えます
DefiLlamaのPapertradeのページ(10月11日13時30分の画面)。赤枠の「Total Value Locked」は約9,600万ドルです。この日の9時33分には約1億209万ドルで、取引開始後に1億ドルを超えていましたが、昼には減っています。出典:DefiLlama、2026年10月11日13時30分撮影
取引所が持つUSDCは、Hyperliquid公式APIの残高で約9,861万ドルでした(10月11日10時14分)。この金額は利用者の残高とLPを合わせたもので、全部を勝った人への支払いに使えるわけではありません。勝ち分の支払いに使えるのはLPの部分だけで、Papertrade公式の集計では10月11日10時14分に約355万ドルでした。
なお、このUSDCは10月11日3時59分の約1億2,183万から、8時57分に約1億506万、10時14分に約9,861万と減り続け、約6時間で約2,322万ドル(約19%)減りました。Hyperliquidの送金記録(公式API)を当サイトが集計すると、3時59分から10時14分までに取引所のアドレスから外部へ約4,463万ドル(2,068件)、外部から取引所へ約2,138万ドル(2,707件)が動き、出金が入金の約2倍でした。
| 時間帯(10月11日・日本時間) | 取引所から外部への出金 |
|---|---|
| 4時台 | 約470万ドル |
| 5時台 | 約242万ドル |
| 6時台 | 約424万ドル |
| 7時台 | 約2,112万ドル(100万ドル以上の出金が5件。最大は7時17分の約390万ドル) |
| 8時台 | 約393万ドル |
| 9時台 | 約726万ドル(9時12分に約200万ドル、9時56分に約145万ドル) |
| 10時台(14分まで) | 約90万ドル |
出典:Hyperliquid公式API(userNonFundingLedgerUpdates)で、取引コントラクト 0x6cd5…d0a2 のUSDCの送金を当サイトが集計。2026年10月11日10時14分取得
待ち行列は0ドルのままで、出金は止まっていません。お金が出ていくこと自体は、勝ち分の払いが遅れていることを意味しません。ただ、減った理由についての公式の告知は、10月11日10時の時点で確認できていません。当サイトは、待ち行列(Queue Debt)が0ドルから動くかを引き続き確かめます。
(10月12日・13日追記)10月12日15時5分に当サイトが取り直した時点では、勝ち分の待ち行列は0ドルのままで、取引所が持つUSDCは約6,170万ドル、LPは約433万ドル、建玉の証拠金の合計は約605万ドルでした。USDCは10月11日10時14分から約1日で約37%(約3,690万ドル)減りました。建玉の証拠金も約1,931万ドルから約605万ドルに減っており、取引が落ち着いて、お金を引き上げた利用者が多いことを示しています。10月13日には、DeFiの集計サイトDefiLlamaで、取引所コントラクトのUSDC(利用者の残高とLPの合計)が約6,090万ドルと、10月12日15時とほぼ同じ水準でした。待ち行列・LP・証拠金は公式の集計でしか見られないため、この記事の値は10月12日15時5分時点のものです。減った理由についての公式の告知は、当サイトが確認した公式Xの投稿(10月12日0時42分まで)にはありません。出典:HyperEVMのRPC、Hyperliquid公式API、Papertrade公式の集計(protocol summary)(2026年10月12日15時5分取得)、DefiLlama(2026年10月13日確認)
X上の投稿にあるが、公式・大手メディアでは確かめられていないこと
| X上の投稿の主張 | 確かめられた範囲(10月11日時点。価格操作の行は10月12日更新) |
|---|---|
| 「勝った人に払えない」 | 公式・大手メディアでは確かめられていない。10月11日10:14のコントラクトの値でも、勝ち分の待ち行列は0ドル。X上に共有された統計画面のスクリーンショットでも、Queue Debtは0ドルだった(運営側の残高はマイナス表示) |
| 「99%の人がポジションを開けない」 | 公式・大手メディアでは確かめられていない。公式Xはローンチ前から「混雑で確認待ちが長くなる。特に金額の小さい取引」と告知していた |
| 「ステーキング報酬が1,510万ドル」 | 公式・大手メディアでは確かめられていない(画面のスクリーンショットのみ)。公式Xが示したのは10月11日1:22時点の「850万ドル」 |
| 「開けた人は差し引き8.99億ドルのロング」 | X上に共有された統計画面のスクリーンショットの数字で、公式・大手メディアでは確かめられていない |
| 「PAPERを約3,550万枚ステーキングし、分配を17.3万ドル超受け取った」(Papertradeの上に作られた別の団体の投稿、10月11日2:27) | 公式・大手メディアでは確かめられていない。投稿したのはPapertradeの公式ではなく、独自のトークンを出している別の団体のアカウント(下の6で説明) |
| 「Hyperliquidの価格を動かして、PapertradeのLPから利益を抜いている利用者がいる」(匿名のX利用者の投稿、10月11日7:35) | 一部は報道と公式が認めた(10月12日更新)。米The Blockが、1つのウォレットがHyperliquidでETHを売り買いして価格を動かしながらPapertradeで取引し、入金より約128万ドル多く出金していたことを、Hyperliquidのデータと Papertradeの記録で確かめた。Papertrade公式Xも「操作の試み」があり、建玉の上限が緩かったためにできたと認め、上限を引き締めていると説明した。一方、The Defiantが第三者の集計サイトの表示として報じた「確定利益 約173万ドル」が操作によるものかは、確かめられていない(下の「Papertradeは大丈夫?」の追記で説明) |
「勝った人に払えない」と「待ち行列に入る」は、同じことではありません。Papertradeは最初から「LPが足りなければ勝ち分は後払い」と決めて動いているので、後払いが起きること自体は設計どおりです。気にするべきなのは、待ち行列が大きくなったときに、どれくらいの速さで払い終わるかです。これは公開後もコントラクトの値で追いかける必要があります。
Papertradeは大丈夫?公式が認めているリスク
10月13日時点で、Papertradeの支払い不能を示す公式発表・当局の資料・報道は、当サイトが確認した範囲ではありません。勝ち分の待ち行列は、当サイトが最後に確かめた10月12日15時5分の時点で0ドルでした。一方で、10月12日には米The Blockが、1つのウォレットがHyperliquidの価格を動かす取引でPapertradeから入金より約128万ドル多く出金していたことを取引データで確かめ、Papertrade公式も建玉の上限が緩かったと認めました(3の下の追記)。一方で、公式ドキュメント自身がいくつものリスクを書いています。使うかどうかは、次の6つを知ってから決めてください。
1. 1000倍は、約0.05%の逆行で証拠金が全部なくなる
公式ドキュメント「Liquidations」によると、1000倍の建玉は価格が約0.052%逆に動いた時点で清算されます。仮にBTCが10万ドルなら、約52ドルの動きです。BTCは数秒でこのくらい動くことがあります。
公式ドキュメントの清算の説明。赤枠の「about 0.052%」は、1000倍の建玉が約0.052%の逆行で清算されるという意味です。出典:Papertrade Docs「Liquidations」、2026年10月11日撮影
2. 勝っても、小さい勝ちは大きく削られる
Papertradeは取引手数料がない代わりに、勝ったときだけ勝ち分を削ります(非対称インパクト)。公式ドキュメント「Asymmetric impact PnL」によると、BTCで価格が0.1%動いた勝ちは、元の勝ち分の約74%しか残りません。1%動いた勝ちでも約88%で、どれだけ大きく勝っても90%が上限です。そこからさらに2%の手数料が引かれます。負けたときは、負けた分以上は取られません。なお、建値のすぐ近く(0.06〜0.1%以内)で決済した取引の手数料は、10月20日に見直しが告知されました(反映の日付は未定。2026年10月の変更点)。
計算例:証拠金10ドル・1000倍(建玉1万ドル)でBTCをロング
- 価格が0.1%上がって決済 → 元の勝ち分10ドル → 削られて約7.4ドル → 2%の手数料を引いて約7.25ドルの利益
- 価格が約0.052%下がった時点 → 清算。10ドルを全部失い、PAPERを約1,000枚もらう(LPが200万ドル未満のとき)
公式ドキュメントのBTCの数値(0.1%の動きで約74%が残る、清算は約0.052%)をもとに当サイトで計算。LPが足りないときは、利益の部分が待ち行列に入ります
3. 価格の操作を完全には防げない(公式が「残るリスク」と明記)
Papertradeは、Hyperliquidの最良の買い値・売り値をそのまま価格として使います。公式ドキュメント「Risk」は、Hyperliquidの注文板に小さな指値を置いて中値を動かし、ゆがんだ価格でPapertradeの建玉を開け閉めして利益を得られるおそれがあると書き、これを「現実に残るリスク」としています。価格を別の価格と照らし合わせて止める仕組み(サーキットブレーカー)はありません。この操作で勝ち分が抜かれると、LPが減り、待ち行列が生まれやすくなります。
(10月12日更新)「価格を動かした取引」を報道が確認、Papertradeも上限の緩さを認めた
米国の暗号資産メディアThe Blockは10月11日(日本時間12日7時26分)、1つのウォレットが、Hyperliquidの注文板でETHを売り買いして価格を動かしながらPapertradeで取引し、Papertradeへの入金(約120万ドル)より約128万ドル多い約248万ドルを出金していたと報じました。The Blockは、この取引をHyperliquidのデータとPapertradeの口座の記録で確かめたとしています。時系列は次のとおりです。
| 日本時間(10月11日) | The Blockが確かめた取引 |
|---|---|
| 7:01〜7:02 | HyperliquidでETHを約6,060枚買い、ETHの価格が約3ドル(約0.12%)上がる |
| 7:03 | ETHを約5,210枚売り、価格が約3.5ドル下がる |
| 7:06 | Papertradeから約154万ドルを1回で出金 |
| 8:13 | Papertradeで660倍のETHの売り建玉を30件(名目で約2億9,700万ドル)持ち、その後3分でHyperliquidでETHを約6,590枚売って、価格を2,504.40ドルまで下げる |
| 11:31 | 売り建玉が2,509.95ドルで清算され、約45万ドルの損失。損失に応じてPAPERが約1,760万枚発行される |
| 合計 | Papertradeでの取引高 約31.8億ドル、入金 約120万ドル・出金 約248万ドル(出金が入金を約128万ドル上回る)。Hyperliquid側で払った手数料は約5.2万ドル |
出典:The Block(2026年10月11日 米東部時間、日本時間12日7時26分)。時刻は米東部時間を当サイトが日本時間に換算。2026年10月12日確認
Papertrade公式Xは10月12日0時42分(日本時間)に、この件について説明しました。要点は次の5つです。
- 夜間にあったHyperliquidの最良気配(BBO)を使った「操作の試み」は、仕組みの設計の見落としではない。ローンチの混雑に合わせて建玉の上限(OI上限)を極めて緩くしていたために可能だった
- 混雑が落ち着いたので、オンチェーンとリレイヤーの両方で建玉の上限を引き締め始めた
- この仕組みでは、操作の攻撃は常に可能。目標は、ほとんどの場合に割に合わない設定にすること
- 夜間に勝った利用者は、新しいアカウントで試し続け、利益のほぼすべてをプールに戻した(Hyperliquid側で価格を動かした費用は含まない)。操作した取引の「取り消し」に、PAPERと引き換えで応じた利用者もいる
- LPは500万ドルあり、ステーキングした人への支払いは累計2,500万ドル
出典:Papertrade公式X(2026年10月11日15時42分 UTC=日本時間12日0時42分)。当サイトが要約。2026年10月12日確認
ただし、「利益はほぼ戻された」「取引の取り消しに応じた利用者がいる」の2つは、The Blockが確かめられなかった公式の主張です。The Blockによると、Papertradeの記録の上では、このウォレットの出金は入金を約128万ドル上回ったままです。新しい建玉の上限の具体的な値は、公式Xの投稿には書かれていません。
最初にこの件を報じたのは10月11日のThe DefiantとCrypto Briefingで、どちらも匿名のX利用者の主張を紹介したものでした(Crypto Briefingは当時「確認されていない」と記載)。その後、The Blockが取引データで確かめ、Papertrade公式も認めたのが上の内容です。
DeFiの集計サイトDefiLlamaも、Papertradeのページの「Hacks」の欄に、この件を2026年10月10日・128万ドル・Oracle Manipulation(取引所が参照する価格を動かす手口)として記録しています(日付はDefiLlamaの表記で、日本時間では10月11日の朝にあたります。2026年10月13日確認)。
報道によると、主張の中身は次の4つの手順です。上の3で、公式ドキュメントが「現実に残るリスク」と書いている形と同じ種類のものです。
- PapertradeでETHの売りの建玉を大きく持つ
- Hyperliquidの注文板でETHを売り、Papertradeが価格に使う中値を約0.1%下げる
- Papertradeの売りの建玉を決済して、利益を出す
- Papertradeで買いの建玉に切り替えてから、Hyperliquidで売ったETHを買い戻す(中値が戻る動きを、買いの建玉の利益にする)
| 報道・データ | 内容 | 出どころ・時刻(日本時間) |
|---|---|---|
| 名指しされたウォレットの確定利益 | 約173万ドル(ただし記事は「操作による利益だとは示していない」と注記) | The Defiant(10月11日9:26)が第三者の集計サイトPaperDashの表示として報道 |
| LP(勝った人への支払いに使うプール) | 約314万ドル(10月10日・UTC)→ 約355万ドル(10月11日10:14) | 10月10日はThe Defiant、10月11日はPapertrade公式の集計を当サイトが取得 |
| 勝ち分の待ち行列 | 0ドル | 10月11日10:14、取引コントラクトとPapertrade公式の集計の両方 |
| 運営の反応 | 10月12日0時42分に公式Xが説明。「操作の試み」は建玉の上限が緩かったためにできたと認め、上限を引き締め中(上の要約) | Papertrade公式X(10月12日0:42) |
出典:The Defiant(2026年10月11日)、Crypto Briefing(2026年10月11日)、Papertrade公式の集計(protocol summary)。2026年10月11日確認
運営には、こうしたときに使える権限があります。公式Xの10月10日の告知によると、運営の管理鍵は新しい建玉の受け付けを止めることと、市場ごと・全体の取引を凍結することができ、凍結中も、持っている建玉はその時点の中値で決済できます。当サイトが確認した公式Xの投稿(10月12日0時42分まで)には、こうした停止・凍結の告知はありません。公式は、取引を止めるのではなく、建玉の上限を引き締めて対応すると説明しています。
読者にとっての意味は2つです。
1つ目は、こうした取引で損をするのは、勝った人への支払いに使うLPで、LPが減るほど勝ち分の待ち行列ができやすくなることです。Papertrade公式Xが示したLPのグラフ(10月11日の1日分)では、約500万ドル前後だったLPが一時約240万ドルまで減り、同じ日のうちに約500万ドルへ戻っています。The Blockも、LPが約240万ドルまで減ってから戻ったと書いています。当サイトが最後に確かめた10月12日15時5分の時点では待ち行列は0ドルで、「勝ち分が払われていない」状態ではありませんでした。
2つ目は、1000倍の建玉は、他人の大きな注文ひとつで清算されうることです。The Blockによると、このウォレットはHyperliquidでETHを約6,060枚買っただけで、ETHの価格を約0.12%動かしています。Papertradeの1000倍の建玉は約0.052%の逆行で清算されるので(上の1)、その半分以下の動きで証拠金が全部なくなります。運営は建玉の上限を引き締めたと説明していますが、具体的な値は公表されていません。これから入金を考えている人は、新しい上限の値と、待ち行列が0ドルのまま続くかを確かめてからでも遅くありません。
4. 混雑すると、小さい取引ほど通りにくい
公式Xは10月1日と10月10日の告知で、ローンチ時は「確認待ちが長くなる。特に金額の小さい取引」と書いていました。注文は取引の種類と金額で並べられ、清算が先に処理されます。少額で試す人ほど、注文がすぐ通らないことがあると考えておいてください。待っている注文は取り消せます。
5. 運営が条件を変えられ、監査の記載はない
公式ドキュメント「Risk」によると、運営の管理鍵(オーナー)は手数料の率や削り方の数値を変えられ、新しい銘柄の追加、コントラクトの入れ替え(アップグレード)もできます。公式Xは、管理鍵は3人のうち2人の署名が要る形(マルチシグ)で、アップグレードには7日間の待機(タイムロック)があると説明しています。ステーキングの上限を500万ドルから1,000万ドルにする変更も、この権限による予定の変更です。10月20日に告知された手数料とPAPERの発行の変更も、このアップグレードで入ります。ただし、10月20日の告知は「タイムロックに入れてから24時間後に反映する予定」としており、上の7日間との関係は公式に説明されていません(公式Xの告知、2026年10月20日確認。2026年10月の変更点)。
また、公式ドキュメントに第三者によるコードの監査(オーディット)の記載は見当たらず、DefiLlamaの掲載情報でも監査は0件でした(10月11日時点)。運営は実名を公表していません。
6. 「わざと負けてPAPERを集める」動きの危うさ
X上では、1000倍でわざと負けてPAPERをもらい、ステーキングの分配をねらう動きも話題になっています。
その動きを、別のトークンを使って組織的に行う団体も出ています。Papertradeの上に作られたとする団体「paperstrategy」のXアカウント(Papertradeの公式ではありません)は、10月10日17時27分(UTC)=日本時間10月11日2時27分に、次のように投稿しました。
- PAPERを約3,550万枚ステーキングしており、これはステーキングされたPAPER全体の1.17%
- ステーキングの分配として、すでに17.3万ドル超を受け取った
- 分配は、団体が出している別のトークン(PSTR)の買い戻しと焼却(消すこと)に使う
- 1つ目の戦略は「完全に清算された」。85万ドル超の資金で、別の戦略を続けてPAPERを集める
これはX上の投稿の内容で、公式・大手メディアでは確かめられていません(10月11日時点)。投稿の数字どおりなら、ステーキングされたPAPERは全体で約30億枚になる計算です。PSTRはPapertradeとは別の団体のトークンで、当サイトは中身を確かめておらず、勧めません。仕組みの上では、こうした動きには次の弱点があります。
- 負けたお金は戻らない:PAPERは損失の「代わり」に配られるだけで、PAPERの値段は決まっていません。送金も売買もできないので、今は現金に換えられません。
- 分配は、ほかの人の負けが続くことが前提:分配の出どころは手数料とLPの上限を超えた分で、どちらも利用者の負けで増えます。取引する人が減れば分配も減ります。
- 待ち行列があると、手数料の分配は止まる:公式ドキュメントのとおり、待っている勝ち分が先に払われます。
- 条件は運営が変えられる:分配の上限は、取引開始の翌日に500万ドルから1,000万ドルへの引き上げが告知されました。
- 後から入るほど、もらえる枚数は減る:LPが200万ドルを超えると、1ドルあたりの枚数は減っていきます。
PAPERをもらうために負けるのは、確実な損失と、値段の決まっていないトークンを交換する行動です。当サイトはこの動きを勧めません。
日本からPapertradeを使う前の注意
Papertradeは、日本の金融庁・財務局に登録された業者ではありません。トラブルが起きても、日本の法律による利用者保護や、国内の相談窓口を頼ることは期待できません。公式ドキュメントには利用できない国の規定は見当たりませんでした(10月11日時点)。
- 規制の動き:金融庁はDEX(分散型取引所)やウォレットの規制を検討しています。今わかっていることは金融庁がDEX・DeFi・ウォレットの規制を検討へにまとめています。
- 税金:日本に住む人が仮想通貨の取引で得た利益は、原則として雑所得です。Papertradeの損益もUSDCで確定するので記録が要ります。PAPERを受け取ったときの扱いは個別の判断が要るため、心配な人は税理士か税務署に確認してください。
- 偽サイト:公式Xは「公式のドメインはpapertrade.xyzだけ。コインを盗む偽サイトが多い」と注意を呼びかけています。検索結果や広告、DMのリンクから開かないでください。
使う前に必要なもの:HyperliquidのUSDCとウォレット
Papertradeを使うには、MetaMaskなどのウォレットと、最低10USDCが必要です。入金がいちばん早いのは、Hyperliquidに置いたUSDCから送る方法で、公式ドキュメントでは数秒で反映されると書かれています。ほかのチェーンからはブリッジ(チェーンをまたぐ送金)の時間と手数料がかかります。
なお公式Xは10月10日13時56分(UTC)に「ローンチのため入金を締め切った」と投稿しており、公式の告知は見当たりませんが、Hyperliquidの送金記録では、10月11日3時59分〜10時14分に約2,707件・約2,138万ドルの入金が記録されています。入金する前に、公式Xで入金の受け付けが再開しているかを確かめてください。
Papertradeは、Hyperliquidの価格とUSDCの上に作られています。Hyperliquid本体は、同じHyperliquidの上で使われている大手のPerp DEXで、注文板で他の利用者と売買する、ふつうの形の無期限先物を扱っています。Hyperliquidの口座はHyperliquid公式サイト(当サイトの紹介リンク)から作れます。
始め方と日本からの使い方はHyperliquidの始め方・使い方、国内の取引所からUSDCを送る手順はHyperliquidの入金方法で解説しています。
※広告(PR):上の「Hyperliquid公式サイト」は当サイトの紹介リンクです。Hyperliquidも日本の金融庁に登録された業者ではありません。
Papertrade以外のPerp DEXと手数料や安全性を比べたいときは、PerpDEXおすすめランキングを見てください。Papertradeは取引が始まったばかりで実績がないため、このランキングには入れていません。
よくある質問
Q. PapertradeとHyperliquidは同じ会社ですか?
いいえ、Papertradeは、Hyperliquidのスマートコントラクト層(HyperEVM)の上に別のチームが作った取引所です。Hyperliquidの価格を読み取って使っていますが、Hyperliquidの公式サービスではありません。
Q. PAPERはエアドロップでもらえますか?
いいえ、PAPERにエアドロップはありません。Papertradeで損失を出して決済した人と、清算された人にだけ発行されます(公式ドキュメント「Paper Emissions」)。
Q. PAPERは売れますか?
2026年10月20日時点で、PAPERは送金も売買もできません。できるのはステーキングと解除だけです。Papertrade公式は10月20日、「今の時点では、コントラクトの外へ送れるようにする予定はない」と発表しました。PAPERの先物ができて空売りできるようになると、価格操作の攻撃が割に合ってしまうためです(公式Xの告知、2026年10月20日確認)。
Q. Papertradeの手数料は10月に変わりますか?
変わる予定です。Papertrade公式は2026年10月20日、取引の多い時間帯は建値から0.06%以内、少ない時間帯は0.1%以内で決済したポジションだけ手数料を変え、それより動いて決済した取引の手数料は変えないと告知しました。主な目的は、ごく短い時間で売買を繰り返すbotへの対策です。新しい率、時間帯の区切り、反映の日付は10月20日時点で公表されていません(公式Xの告知、2026年10月20日確認)。
Q. 勝った分はいつ引き出せますか?
LPにお金があれば、Papertradeの勝ち分は決済と同時に残高に入り、最低10USDCから出金できます。LPが足りないときは、勝ち分の足りない部分が待ち行列に入り、後から出た利用者の負けで前から順に払われます。元の証拠金は、待ち行列に入らずすぐ戻ります。
Q. Papertradeの「Queue Debt」とは何ですか?
Queue Debtは、Papertradeが勝った人にまだ払えていない勝ち分の合計です。0ドルなら、払いの遅れは起きていません。10月11日3時59分・10時14分と、10月12日15時5分に当サイトが取引コントラクトを読んだ時点では、いずれも0ドルでした。
Q. Papertradeからお金はどれくらい引き出されていますか?
Hyperliquidの送金記録(公式API)を当サイトが集計すると、2026年10月11日3時59分から10時14分までに、Papertradeの取引所から外部へ約4,463万ドルが出金され、外部からは約2,138万ドルが入金されました。取引所が持つUSDCは、この間に約1億2,183万ドルから約9,861万ドルへ約19%減っています。勝ち分の待ち行列は0ドルのままで、出金は止まっていません。
Q. 1000倍で取引すると、どれくらい動いたら清算されますか?
Papertradeの1000倍の建玉は、価格が約0.052%逆に動くと清算され、証拠金を全部失います(公式ドキュメント「Liquidations」)。BTCが10万ドルなら約52ドルの動きです。
Q. HyperliquidのHLPとPapertradeのLPの違いは?
HyperliquidのHLPは利用者がUSDCを預けられるプールで、注文板の参加者の1人として動きます。PapertradeのLPは利用者が預けることはできず、利用者の負けだけでできていて、すべての取引の相手になります。勝った人に払えないときに後払い(待ち行列)になるのはPapertradeのLPです。
Q. Papertradeは危ないですか?
2026年10月13日時点で、Papertradeの支払い不能を示す公式発表・当局の資料・報道は、当サイトが確認した範囲ではありません。勝ち分の待ち行列は、当サイトが最後に確かめた10月12日15時5分の時点で0ドルでした。一方で、1つのウォレットがHyperliquidの価格を動かす取引でPapertradeから入金より約128万ドル多く出金していたことを、The Blockが取引データで確かめ、Papertrade公式も建玉の上限が緩かったと認めて引き締めています。DefiLlamaも、この件を価格の操作(Oracle Manipulation)による約128万ドルの被害として記録しています。ただし、利用者の負けで勝ちを払う仕組み、1000倍の清算の速さ、公式が認める価格操作のリスク、監査の記載がないことは事実です。仕組みを理解したうえで、失ってよい金額の範囲で判断してください。
Q. Papertradeで価格操作はあったのですか?
Papertrade公式Xは2026年10月12日(日本時間)、ローンチ直後の夜にHyperliquidの価格を使った「操作の試み」があったと認め、ローンチの混雑に合わせて建玉の上限を極めて緩くしていたためにできたと説明しました。The Blockは、1つのウォレットがHyperliquidでETHを売り買いして価格を動かしながらPapertradeで取引し、入金より約128万ドル多く出金していたことを取引データで確かめています。DeFiの集計サイトDefiLlamaも、この件をOracle Manipulation(価格を動かす手口)による約128万ドルの被害として記録しています。公式の「利益はほぼ戻された」という説明は、The Blockでは確かめられていません。公式は建玉の上限を引き締めていますが、具体的な値は公表していません。
まとめ:Papertradeは「仕組みを知ったうえで様子を見る」が無難
まとめ(2026年10月13日時点、10月20日に追記)
- Papertradeは、Hyperliquidの価格を使う1000倍のPerp DEX。相手は0ドルから始まる運営のプールで、利用者の負けが勝ちの支払い元
- LPが足りないと、勝ち分は待ち行列(Queue Debt)で後払い。当サイトが最後に確かめた10月12日15:05の値は0ドル。ただし取引所のUSDCは、10月11日3:59の約1億2,183万ドルから、10月13日のDefiLlamaの集計で約6,090万ドルへ、約半分に減った
- PAPERは負けた人にだけ配られ、当面は売れない。分配の条件は運営が変えられる(上限は10月18日に1,000万ドルへ)。10月20日、公式は外へ送れるようにする予定は今のところないと発表し、建値の近くで決済した取引の手数料とPAPERの発行の仕組みの変更も告知(反映の日付は未定)
- 1000倍は約0.05%で清算。価格操作のリスクは公式も「残る」と明記。10月12日、The Blockが1つのウォレットの価格を動かす取引(出金が入金を約128万ドル上回る)を確かめ、公式も建玉の上限が緩かったと認めて引き締め中。DefiLlamaも約128万ドルの被害として記録。監査の記載はなし
- 初めての人は様子を見る。試すなら、失ってよい少額だけ。わざと負けてPAPERを集めるのは勧めない
当サイトは、待ち行列の発生、新しい建玉の上限の公表、入金の受け付け再開の公式告知、10月20日に告知された手数料・PAPERの発行の変更の反映など大きな動きがあれば、この記事に追記します。
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本記事のデータは2026年10月13日(日本時間)時点のものです。ただし、勝ち分の待ち行列・LP・建玉の証拠金・Hyperliquid公式APIのUSDC残高は、当サイトが最後に取得した2026年10月12日15時5分の値です(10月11日10時に、取引所のUSDC・送金・価格操作の疑いの報道を追記。10月12日15時に待ち行列・USDC・LP・証拠金を取り直し。10月13日に、The Blockの取引データの確認・Papertrade公式の説明・DefiLlamaのTVL・手数料・被害の記録を追記。10月20日に、Papertrade公式Xの送金・手数料・PAPERの発行の変更の告知と、PAPERの供給量(10月20日11時25分にHyperEVMのコントラクトから取得)を追記)。主な出典:Papertrade公式の集計、The Defiant、Papertrade公式ドキュメント、Papertrade公式X、DefiLlama、Crypto Briefing、Bitcoin.com News、HyperliquidのAPIとHyperEVMのRPC(当サイトが直接取得)。本記事は情報提供を目的としたもので、特定の取引を勧めるものではありません。




