大手仮想通貨取引所のコインチェックは9月10日、新たに登録した送金先アドレスへの暗号資産送金について、9月15日から一定期間の制限を設けると発表した。金融庁と警察庁が8月6日に交換業者へ要請した詐欺対策の一環で、フィッシング詐欺・不正アクセスによる資産流出を防ぐのが狙いだ。制限は予定どおり9月15日に始まった(コインチェック公式のお知らせは同日に「予定」の表記を外して更新)。いまコインチェックで新しい送金先を登録すると、一定の間はそのアドレスに送れないため、送金の予定がある人は前もって登録しておく必要がある。
何が変わるのか
9月15日以降、コインチェックで新たに登録した送金先アドレスへの暗号資産送金には、一定期間の制限がかかっている(9月15日から)。制限の具体的な日数は「セキュリティ上の理由」から公表されておらず、コインチェックは期間の短縮や早期解除にも応じない方針を示している。
一方で、すでに登録済みのアドレスへの送金はこれまで通り利用できる。影響を受けるのは、15日以降に初めて登録する送金先だけだ。
MEXCなど海外の取引所へ送る予定がある人は、送金先の登録から、どの通貨で送ると安いかまでをコインチェックからMEXCへ送金する方法で確かめておくと、待ち時間をむだにしない。送り先によってはトラベルルールの関係でそもそも送れない通貨もあるため、国内各社の送金可否一覧もあわせて確認しておきたい。なお、MEXCは日本の登録業者ではなく、金融庁から2回(2023年3月・2024年11月)、関東財務局から1回(2025年6月)警告を受けている。2026年2月からは本人確認(KYC)をしないと入金・出金ができない。
制限は何時間?いつ解除される?
制限が何時間・何日続くかは、コインチェックが公表していません。9月15日に更新された公式のお知らせは、具体的な制限期間を「セキュリティ上の理由により非公開」としています。公式FAQも、期間は「アドレス登録後一定時間」と書くだけです(2026年10月2日確認)。
期間が過ぎると自動で解除され、自分で手続きをする必要はありません。ただ、期間が分からないので、「明日送る」と決めてから登録すると間に合わないことがあります。送る予定ができたら、その時点で送金先だけ先に登録しておくのが確実です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 新しく登録した送金先アドレスへの送金。自分名義の口座への送金も、詐欺ではない送金も対象 |
| 期間 | 登録後一定時間(具体的な時間は非公開) |
| 解除 | 期間が過ぎると自動で解除。手続きや問い合わせでは早まらない |
| 削除して登録し直した場合 | 新しいアドレスとして扱われ、もう一度制限がかかる |
出典:コインチェック「暗号資産の送金に関するセキュリティ強化のお知らせ」(2026年9月15日更新)、公式FAQ「新しい送金先アドレスへの送金が制限されます。なぜでしょうか?」(2026年9月15日更新)。いずれも2026年10月2日確認。
制限中でもできること・できないことは?
止まるのは新しく登録したアドレスへの送金だけです。売買や日本円の入金・出金は、制限中もいつもどおりできます。
| 操作 | 制限中 |
|---|---|
| 新しく登録したアドレスへの送金 | ×(一定時間できない) |
| すでに制限が解けた登録済みアドレスへの送金 | ○ |
| 新しい送金先アドレスの登録 | ○ |
| 暗号資産の購入・売却 | ○ |
| 日本円の入金・出金 | ○ |
出典:コインチェック公式FAQ「新しい送金先アドレスへの送金が制限されます。なぜでしょうか?」(2026年9月15日更新、2026年10月2日確認)
なぜ今、この対応なのか
背景にあるのは、金融庁と警察庁が8月6日に日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)を通じて交換業者各社に要請した、詐欺被害防止策の強化だ。要請には「送金先の事前登録」「登録後の出庫制限」「適切な出庫上限の設定」「取引・アクセス環境の監視強化」など11項目が含まれており、特殊詐欺の資金が交換業者の口座を経由して流出するケースが増えていることが理由に挙げられている。
コインチェックが先行して対応するのは今回が初めてではない。GMOコインはひと足先の8月29日から、送金先アドレスの確認メールを承認してから24時間は送金できない仕組みを導入している。今後、他の国内取引所でも同様の制限が広がる可能性が高い。
どれくらい深刻な問題なのか
金融庁がまとめた2026年4〜6月期の相談統計によると、暗号資産に関するトラブル相談は1,374件寄せられており、このうち72.1%にあたる991件が「個別取引・契約の結果」——つまり実際に取引で損失が生じた後の相談だった。年代別では50代が383件と最多で、60代372件・70代以上355件と続き、50代以上が全体の56.6%を占めている。「まず制限をかけて被害の芽を摘む」という今回の措置は、この統計が示す「損をしてからでは遅い」という現実を踏まえたものといえる。
コインチェック利用者が今すぐ確認すべきこと
- 普段から仮想通貨を送る相手(自分の他の取引所口座・ハードウェアウォレット等)のアドレスがまだ未登録なら、送金が必要になる前に登録しておく(登録してから一定の間は送れないため。期間は公式FAQでも「登録後一定時間」とだけ書かれ、日数は公表されていない)
- 制限期間の短縮(早期解除)には応じてもらえないので、急ぎの送金はすでに登録済みのアドレスに送るか、日程に余裕を持たせる
- 身に覚えのない送金先アドレスが登録されていないか、この機会に一度登録済みアドレス一覧を確認する。心当たりのないものがあれば、直ちにアカウントをロックしてコインチェックに問い合わせる
- 「制限を解除します」「本人確認のため送金してください」といった趣旨の連絡が来ても、公式サイト・公式Xアカウント以外の情報源は信用しない
早く解除する方法はある?
早く解除する方法はありません。公式FAQは、手続きや問い合わせで解除の時期を早めることはできないと明記しています。
- 問い合わせても早まらない:期間が過ぎて自動で解除されるのを待つしかありません
- 削除して登録し直すのは逆効果:一度削除したアドレスを登録し直すと新しいアドレスとして扱われ、制限がもう一度かかります
- 解除のあとに「追加の本人確認」が出ることがある:送金を申請したあとに、マイナンバーカードでの確認を求められる場合があります。これはこの制限とは別のセキュリティ確認です。手順は公式FAQ「マイナンバーカードによる追加の本人確認が必要な送金について」にあります
どうしても急ぐときは、すでに制限が解けている登録済みのアドレスへ送れないか確かめてください。別のアドレスが制限中でも、制限が解けた登録済みアドレスへの送金は申請できます(公式FAQ)。
MEXCなど海外取引所へ送りたいときは?
先に送金先だけ登録し、制限が解けるのを待つ間に入金と購入を済ませるのが一番早い段取りです。
- 送り先の取引所で口座開設と本人確認を済ませ、入金アドレス(XRPなら宛先タグも)をコピーする
- コインチェックで送金先を登録する(サービス名は一覧から選ぶ)
- 制限が解けるまでの間に、日本円を銀行振込で入金し、送る通貨を買う
- 制限が解けたら、少額でテスト送金してから残りを送る
入金は銀行振込にしてください。クイック入金・コンビニ入金で入れたお金は、入金の反映から7日間、その金額分を送金できません(銀行振込なら制限なし。公式FAQ「入金・購入後の資産移動と制限内容」、2026年9月16日更新)。新規アドレスの制限と重なると、そのぶん長く待つことになります。
コインチェックからMEXCへ送る具体的な手順と、どの通貨で送ると安いかは、コインチェックからMEXCへ送金する方法で解説しています。取引所(板取引)の段階制手数料は、10月19日の導入が延期され、新しい日時は未定です(コインチェック公式のお知らせ、2026年10月17日確認)。導入されたらどう変わるかはコインチェックの段階制手数料は延期|導入されたら料率はいくら?にまとめています。
MEXCは日本の暗号資産交換業の登録を受けていない海外の業者で、金融庁から2回(2023年3月・2024年11月)、関東財務局から1回(2025年6月)警告を受けています。2026年2月からは本人確認(KYC)をしないと入金・出金ができません。口座の作り方はMEXCの口座開設・登録方法で解説しています。
送り先の取引所によっては、トラベルルールの関係でコインチェックから送れない通貨があります。送れる取引所の一覧はトラベルルールの解説と送金可否一覧で確かめられます。
送れないときは何を確かめる?
コインチェックから送れないときは、次の5つを上から順に確かめてください。
| 症状 | 考えられる原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 新しく登録したアドレスに送れない | 新規アドレスの制限中 | 自動で解除されるまで待つ(期間は非公開) |
| 残高はあるのに、送金できる金額が足りない | クイック入金・コンビニ入金の7日間の制限 | 入金の反映から7日待つ。次からは銀行振込で入金 |
| 送り先の取引所に、その通貨を送れない | トラベルルール(送り先の国・地域) | 送金可否一覧で確かめる |
| 送ったのに届かない | 送金ネットワークの選び間違い | ネットワークを間違えたときの対処 |
| XRPを送ったのに残高に反映されない | 宛先タグの入れ忘れ・間違い | 宛先タグを間違えたときの対処 |
出典:コインチェック公式FAQ「新しい送金先アドレスへの送金が制限されます。なぜでしょうか?」(2026年9月15日更新)、「入金・購入後の資産移動と制限内容」(2026年9月16日更新)。2026年10月2日確認。
まとめ:コインチェックは9月15日から、新規登録した送金先アドレスへの送金に一定期間の制限を設けた。金融庁・警察庁の要請に基づく詐欺対策で、既存登録済みのアドレスへの影響はない。GMOコインも8月29日から同様の措置を導入済みで、今後他の取引所にも広がる見通しだ。普段から複数の送金先を使う人は、送金が必要になる前に送金先を登録しておきたい。
国内取引所ごとの送金の可否は、記事の前半で案内した送金可否一覧で確かめられます。
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