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暗号資産の規制、「資金決済法」から「金融商品取引法」へ移行 改正法が成立

国会議事堂を背景に、天秤と法律の書類、暗号資産のコインを並べたイラスト 相場・ニュース

2026年7月15日、暗号資産に関する改正法が参議院で可決・成立しました。

この改正により、規制根拠が「資金決済法」から「金融商品取引法(金商法)」へ移ります。

個人投資家への影響を、分かりやすく解説します。

そもそも「資金決済法」と「金融商品取引法」の違いとは

資金決済法は、決済手段としての暗号資産を規制する法律です。

一方、金商法は株式や投資信託など、投資対象を規制する法律です。

今回の改正で、暗号資産は投資対象としても厳格に規制されます。

新設されるインサイダー取引規制

今回の改正の大きな柱が、インサイダー取引規制の新設です。

インサイダー取引とは、内部情報を使って不当に利益を得る取引です。

これまで暗号資産には、株式のような規制がありませんでした。

改正法により、暗号資産にも同様の規制が適用されます。

情報公表義務も新設

あわせて、発行体などに情報公表義務が新設されます。

発行体は、投資判断に必要な情報の開示が求められます。

株式市場に近い透明性が、暗号資産市場にも求められます。

暗号資産は「有価証券」にはならない

注意したい点は、暗号資産が「有価証券」にはならないことです。

有価証券とは異なる、独自の金融商品として規制対象になります。

株式と同じ規制がすべて適用されるわけではありません。

施行時期はいつ?税金(分離課税)はいつから変わる?

改正法は2026年7月15日に成立し、暗号資産の部分は遅くとも2027年7月22日までに施行されます。具体的な施行日は政令で決まり、2026年10月9日時点ではまだ公表されていません。成立までの経過と今後の日程は次のとおりです。

日付出来事状態
2026年4月10日内閣が国会に提出(衆議院が受理)済み
2026年6月11日衆議院の本会議で可決済み
2026年7月15日参議院の本会議で可決・成立済み
2026年7月23日公布(令和8年法律第64号)済み
2026年8月12日無登録営業の罰則の引き上げなど、一部が先に施行済み
2027年7月22日まで暗号資産を金商法に移す部分の施行(政令で決める日)日付は未定
施行日の翌年1月1日申告分離課税(20.315%)の開始=2027年1月か2028年1月施行日しだい

出典:衆議院「議案審議経過情報」、金融庁「法律・理由」附則第1条、金融庁「20日後施行に係る政令の公布」、財務省「令和8年度 税制改正の解説」(いずれも下の本文にリンク)。2026年10月2日確認。

申告分離課税(20.315%)の対象になる見込みなのは、金融庁に登録した国内の業者での取引で、海外取引所での取引は総合課税のまま残ります(後半の「個人投資家への影響」で説明)。国内の登録業者の口座の作り方は、OKJ(オーケーコイン・ジャパン、関東財務局長 第00020号)を例にOKJの口座開設・始め方で解説しています。

改正法(金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律)は、2026年7月23日に公布されました(令和8年法律第64号)。

暗号資産の規制を金商法に移す部分の施行日は、法律の附則第1条で「公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日」とされています。つまり施行は遅くとも2027年7月22日までで、具体的な日付は今後の政令で決まります(2026年10月9日時点で、施行日を定める政令は公表されていません)。なお、同じ法律のうち、金融商品取引法の無登録営業(株などの有価証券や、暗号資産の先物などのデリバティブを扱う業)の罰則の引き上げ(拘禁刑5年→10年)などは、公布から20日を経過した2026年8月12日に先に施行されました。暗号資産の売買・交換(現物)を無登録で行う業者の罰則が重くなる(資金決済法の拘禁刑3年→金商法の10年)のは、暗号資産の部分の施行日からです。(2026年10月1日訂正:以前は、暗号資産の無登録業者の罰則がすべて8月12日に引き上げられたと読める書き方をしていました。)

税金もこの施行日に連動します。暗号資産の申告分離課税(税率20.315%)は、改正法の施行日が属する年の翌年1月1日から始まるため、開始は2027年1月1日か2028年1月1日のどちらかです。海外取引所やステーキング報酬など分離課税の対象にならない取引、損失の3年繰越は仮想通貨の分離課税はいつから?、確定申告の手順は仮想通貨の確定申告のやり方で詳しく解説しています。
出典(2026年9月25日確認):衆議院「議案審議経過情報」(令和8年7月23日公布・法律第64号)、金融庁「法律・理由」附則第1条(PDF)、金融庁「20日後施行に係る政令の公布」、財務省「令和8年度 税制改正の解説」(PDF)(分離課税の適用開始)

監督体制も強化。金融庁「暗号資産・ステーブルコイン課」新設

法改正と歩調を合わせるように、金融庁も体制を強化しています。2026年8月7日、金融庁は組織再編を行い、暗号資産・ステーブルコインを扱う事業者の監督を専門に担う「暗号資産・ステーブルコイン課」を新設しました。

新課の内部には「暗号資産モニタリング室」「イノベーション推進室」「デジタル決済企画室」の3部門が置かれ、2018年の検査局廃止以来8年ぶりとなる大規模な組織改編の一環と位置付けられています。

2027年度の予算要求:暗号資産のモニタリングと無登録業者の調査を強化

金融庁は2026年8月、2027年度(令和9年度)の予算と組織・人員の要求を公表しました。暗号資産の取引業者を見張る体制の強化(室長の設置など)と、無登録業者に対する犯則調査の体制強化が、どちらも要求に入っています。

項目要求の中身
予算の総額403億円(前年度予算から+134億円)。人件費200億円、物件費155億円、デジタル庁一括計上48億円
暗号資産に関係する予算市場監視・金融犯罪防止の高度化(AIを使った監視・モニタリングの基盤づくり)など
人員32人の増員を要求。定員の見直しなどで18人減らし、差し引き14人の純増
暗号資産の取引業者モニタリング体制の強化(室長の設置など)
無登録業者犯則調査の実施体制の強化(統括調査官などの設置)
そのほかフロンティアAIのリスクへの対応、デジタル決済の高度化、電子決済手段(ステーブルコイン)の取引業者の監督強化など

出典:金融庁「令和9年度 予算、機構・定員について」(令和8年8月、PDF)。2026年10月2日確認。

これは「要求」の段階で、実際の予算と人員は年末の政府の予算案と国会の審議を経て決まります。要求が通っても、取引所の手数料や口座の手続きがすぐ変わるわけではありません。

法律(金商法移管)と監督体制(専門部署の新設)の両輪が同時に整備されつつあることから、暗号資産市場に対する規制・監督は今後さらに強化されていく方向にあると見てよいでしょう。

規制の方向は国によって大きく違います。日本が暗号資産を金商法で扱う方向に進む一方、中国は2026年も暗号資産の取引を禁止したままです。中国の禁止の経緯と2026年2月の新しい通知の中身は、中国の仮想通貨は解禁される?2026年も禁止のままで解説しています。

規制の方向は国によって大きく違います。日本が暗号資産を金商法で扱う方向に進む一方、中国は2026年も暗号資産の取引を禁止したままです。中国の禁止の経緯と2026年2月の新しい通知の中身は、中国の仮想通貨は解禁される?2026年も禁止のままで解説しています。

海外の無登録業者はどうなる?利用者は罰せられる?

改正法で重くなるのは、日本で登録せずに営業する「業者」への罰則です。日本居住者が海外の無登録業者を使うことを罰する規定は、金融庁の改正法の説明資料には見当たりません。ただし、無登録業者は日本の法律による利用者保護の対象外で、トラブルが起きても日本の窓口に頼れません。

項目今(資金決済法)施行後(金商法)
暗号資産の売買・交換を無登録で営業した業者の罰則拘禁刑3年以下拘禁刑10年以下
暗号資産の先物などデリバティブの無登録営業の罰則拘禁刑10年以下(2026年8月12日に引き上げ済み)同左
金融庁の対応無登録業者に警告書を出し、名前を公表無登録業者への犯則調査の体制を強化する方針(2027年度の要求)
使った利用者罰する規定は見当たらない。ただし日本の利用者保護は受けられない

出典:この記事の「施行時期はいつ?」の節の金融庁・衆議院の資料、金融庁「無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等について」、金融庁「令和9年度 予算、機構・定員について」。2026年10月2日確認。個別の事情の法的な判断は弁護士などの専門家に確認してください。

たとえば海外取引所のMEXCは、金融庁から2回(2023年3月・2024年11月)、関東財務局から1回(2025年6月)、無登録営業について警告を受けています。2026年2月からは本人確認(KYC)をしないと入金・出金ができません。警告の中身と、日本居住者が使うときの扱いはMEXCは日本で違法?金融庁・関東財務局の警告3回と利用者の扱いで詳しく解説しています。DEXやウォレットの規制の検討は金融庁がDEX・DeFi・ウォレットの規制を検討へにまとめています。

個人投資家への影響

今回の改正で、暗号資産市場の透明性向上が期待されます。

取引所や発行体は、新たな対応を求められる可能性があります。

サービス内容が変わる可能性もあるため、注視が必要です。税金面では、国内の登録業者での売却益が分離課税(20.315%)に移る一方、海外取引所での取引は対象外で総合課税のまま残ります(詳しくは仮想通貨の分離課税はいつから?)。

分離課税の対象になる見込みの国内の登録業者で取引を始めるなら、OKJ(オーケーコイン・ジャパン、関東財務局長 第00020号)の口座開設の手順と手数料をOKJの始め方にまとめています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 今回の改正で、取引がすぐに変わりますか?

A1. いいえ。暗号資産部分の施行日は、公布(2026年7月23日)から1年以内に政令で定める日で、2026年10月9日時点では決まっていません。施行されるまで、取引のルールや税金(総合課税)は今のままです。申告分離課税は施行日の翌年1月1日から(2027年1月か2028年1月)始まります。

Q2. 暗号資産は株式と同じ扱いになりますか?

A2. いいえ、有価証券とは異なる金融商品として規制されます。

Q3. インサイダー取引規制とは何を禁止しますか?

A3. 内部情報を使って不当に利益を得る取引を禁止する規制です。

本記事のデータは2026年10月9日時点のものです。施行日の政令が公表されたら追記します。

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