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「仮想通貨は取引所に預けっぱなしで大丈夫?」「ハードウェアウォレットに移した方が安全?」「Ledgerの事件を見て、どこに置けばいいか分からなくなった」
2026年10月、ハードウェアウォレット大手Ledgerの端末をめぐる資金流出の疑いが報じられ、「自分で持てば安全」という考え方にも穴があることが分かりました。この記事では、資金決済法と内閣府令の条文、金融庁・関東財務局の公表資料、各社の公式情報をもとに、取引所・ハードウェアウォレット・ソフトウェアウォレットの3つの置き場所を、守られる範囲・弱点・コストで比べます。
この記事の結論(2026年10月11日時点)
- どこに置いても「絶対に安全」はありません。違うのは「何が起きたときに、誰が・どこまで守るか」です。
- 金融庁に登録された国内の取引所は、法律で預かった資産を自社の資産と分けて管理し、暗号資産の95%以上をネットから切り離して保管することが義務になっています。取引所が破綻しても、分けて管理された分は他の債権者より先に返してもらう権利があります。ただし、ハッキングされたときの全額補償は法律の義務ではありません。
- ハードウェアウォレットは、取引所の破綻やハッキングの影響を受けません。そのかわり、24語の復元フレーズを無くせば誰も戻せず、偽物・改ざんされた端末をつかむ危険もあります。
- スマホやブラウザのウォレット(ソフトウェアウォレット)は、DeFiなどを使うための「財布」と考え、大きな額を長く置く場所にはしません。
- 選び方の目安:売買に使う分は国内の登録業者、長く持つまとまった額はメーカーの公式ストアで買ったハードウェアウォレット、DeFiで使う分だけソフトウェアウォレット。1か所に全部を置かないことが一番の対策です。
仮想通貨はどこに保管するのが安全?3つの置き場所の比較表
仮想通貨の置き場所は、「秘密鍵(資産を動かすための鍵)を誰が持つか」で、取引所に預けるか、自分で持つかの2つに分かれます。自分で持つ方法には、専用の端末を使うハードウェアウォレットと、スマホやパソコンのアプリを使うソフトウェアウォレットがあります。
| 比べる点 | 国内の登録業者(取引所) | ハードウェアウォレット | ソフトウェアウォレット |
|---|---|---|---|
| 鍵を持つのは | 取引所 | 自分(専用端末の中) | 自分(スマホ・PCの中) |
| 取引所のハッキング・破綻 | △ 影響を受ける(法律の保護あり) | ◎ 影響を受けない | ◎ 影響を受けない |
| ネットからの攻撃 | ○ 95%以上はネットから切り離して保管(義務) | ◎ 鍵が端末の外に出ない | △ 端末の乗っ取り・偽サイトに弱い |
| パスワード・24語を忘れたら | ◎ 本人確認で取り戻せる | × 24語が無ければ戻らない | × 24語が無ければ戻らない(※) |
| 偽物・詐欺の危険 | △ 偽サイト・なりすまし | △ 偽物・改ざん端末、偽サポート | × 偽アプリ・承認詐欺 |
| すぐ売買・日本円にできるか | ◎ その場でできる | △ 取引所へ送る手間と手数料 | ○ DEXなら可。日本円は取引所経由 |
| 費用 | 口座は無料(出金・出庫は有料) | 本体代(例:Ledger Nano S Plusは公式ストアの米ドル表示で69ドル)+送金手数料 | アプリは無料が多い+送金手数料 |
※MetaMaskなど一部のアプリは、GoogleやAppleのアカウントで復元できる方式も用意しています(MetaMask公式ヘルプ)。出典:資金決済法・暗号資産交換業者に関する内閣府令、Ledger公式ストア(2026年10月11日確認)。
海外の取引所は、この表の「国内の登録業者」に当てはまりません。日本の法律の保護の対象外です(海外の取引所に置くのは?)。
取引所とウォレットの違いは?「鍵を持つのは誰か」で決まる
取引所とウォレットのいちばんの違いは、資産を動かすための秘密鍵を、取引所が持つか自分が持つかです。取引所の口座にある残高は「取引所に預けている資産を返してもらう権利」で、実際の鍵は取引所が管理しています。
取引所に預ける
鍵:取引所
守り手:取引所+法律
弱点:取引所の流出・破綻・出金停止
ハードウェアウォレット
鍵:自分(専用端末)
守り手:自分
弱点:24語の紛失・流出、偽物の端末
ソフトウェアウォレット
鍵:自分(スマホ・PC)
守り手:自分
弱点:端末の乗っ取り、偽サイト、承認詐欺
よく聞く「コールドウォレット」と「ホットウォレット」は、鍵がネットにつながっているかどうかの区別です。ネットから切り離して鍵を置くのがコールドウォレット、つながったままなのがホットウォレットです。ハードウェアウォレットは、個人がコールドウォレットを作るための代表的な道具です。取引所も、預かった暗号資産の大部分をコールドウォレットで管理しています。
自分で鍵を持つと、取引所に何が起きても資産は動かされませんが、鍵をなくしたときに助けてくれる人もいなくなります。どちらの危険を引き受けるか、が選び方の本題です。
国内の取引所に預けると、法律で何が守られる?
金融庁に登録された国内の取引所(暗号資産交換業者)は、資金決済法と内閣府令で、預かった資産の管理方法が細かく決められています。中心は「自社のお金と分けて管理する」「暗号資産の95%以上はネットから切り離す」「破綻したら利用者に優先して返す」の3つです。登録業者は2026年9月1日現在で27業者です(金融庁の登録一覧)。
| 法律で決まっていること | 中身 | 根拠 |
|---|---|---|
| 日本円の分別管理と信託 | 利用者の日本円は自社のお金と分け、信託会社などに信託する | 資金決済法63条の11第1項 |
| 暗号資産の分別管理 | 利用者の暗号資産を自社の分と分け、誰の分かすぐ分かる状態で管理する | 同条第2項、内閣府令27条1項 |
| ネットにつながった保管は5%まで | ホットウォレットに置けるのは、利用者の暗号資産の円換算額の5%以下。残りは常時ネットに接続していない機器などで管理する(または同等の安全管理) | 内閣府令27条2項・3項 |
| ホットウォレット分の備え | ホットウォレットに置いた利用者の分と同じ種類・同じ量の暗号資産を、自社の資産として別に持ち、コールドウォレットで管理する(履行保証暗号資産) | 資金決済法63条の11の2、内閣府令29条 |
| 外部の監査 | 分別管理ができているか、毎年1回以上、公認会計士か監査法人の監査を受ける | 同条第3項、内閣府令28条 |
| 流出したときの方針 | 鍵の漏えいなどで利用者に暗号資産を返せなくなった場合に、どう返すか(対応と時期)の方針を決めて公表する | 内閣府令23条3項 |
| 破綻したときの優先弁済 | 分別管理された利用者の暗号資産と履行保証暗号資産から、他の債権者より先に返してもらう権利がある | 資金決済法63条の19の2 |
出典:e-Gov法令検索「資金決済に関する法律」「暗号資産交換業者に関する内閣府令」(2026年10月11日確認)。

法律が守らないものは?
法律の保護は「預けた資産を取引所がなくしたり、使い込んだりしないための仕組み」です。次の3つは守ってくれません。
- 値下がり:買った値段より下がった分は、どこに置いても戻りません。
- ハッキングの全額補償:法律が求めるのは「どう返すかの方針を決めて公表すること」で、全額補償そのものは義務ではありません。過去の全額補償は各社の判断です(次の章)。
- 貸し出した暗号資産:取引所に暗号資産を貸して貸借料をもらうサービス(貸暗号資産など)は、取引所の資産として扱われ、分別管理の対象外になるのが一般的です。たとえばOKJは、貸暗号資産は分別管理の対象外で、破綻時に返ってこないおそれがあると説明しています。
また、仮想通貨は銀行預金ではないため、銀行の預金保険(1,000万円までの払い戻し保証)のような仕組みはありません。
なお、2026年7月15日に成立した改正法で、暗号資産の取引のルールは資金決済法から金融商品取引法へ移ることになりました(金融庁)。施行は公布(2026年7月23日)から1年以内の政令で定める日で、それまでは上の資金決済法のルールが使われます。
国内の登録業者の例:OKJは預かった暗号資産を100%コールドウォレットで管理
法律が求めるのは「95%以上」ですが、それより厳しく管理している業者もあります。オーケーコイン・ジャパン(OKJ、関東財務局長 第00020号)は、預かった暗号資産を100%コールドウォレットで分別管理していると公式ヘルプで説明しています。ステーキング中の暗号資産も同じ扱いです(貸暗号資産は対象外)。

売買に使う分や、ハードウェアウォレットを用意するまでの置き場所として、金融庁に登録された国内の取引所の口座を1つ持っておくと、日本円への出し入れもしやすくなります。OKJの手数料や口座開設の手順は「OKJの口座開設・始め方」で詳しく説明しています。
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取引所がハッキング・破綻したらどうなった?過去の5つの例
法律の仕組みが実際にどう働いたかは、過去の例を見ると分かります。今の分別管理のルールができた後の国内の例では、利用者の資産は返されています。一方、ルールができる前のMt.Goxや、日本の法律の外にある海外の取引所では、結果が大きく違います。
| 取引所(年) | 何が起きた | 利用者の資産はどうなった | 日本の法律の保護 |
|---|---|---|---|
| Mt.Gox(2014年) | 大量のビットコインを失い破綻 | ビットコインなどでの弁済が始まったのは2024年7月。破綻から約10年かかり、弁済の期限は2027年10月31日まで延長された(マウントゴックスの弁済期限の延長:理由と経緯) | × 登録制度ができる前 |
| Coincheck(2018年) | 約580億円相当のNEMが流出 | 保有していたNEMの数×88.549円を、日本円で口座に補償。NEMのまま返されたわけではない | △ 当時は登録前(みなし業者) |
| FTX Japan(2022年) | 親会社のFTXが破綻。関東財務局が業務停止命令と資産の国内保有命令 | 日本の利用者の資産は分別管理されており、2023年2月21日から出金が再開。FTXグループで最初の出金再開 | ◎ 対象 |
| DMM Bitcoin(2024年) | 5月31日に4,502.9BTC(約482億円相当)が流出 | グループ会社の支援で流出分を全額保証すると発表。その後廃業し、口座と預かり資産はSBI VCトレードへ移った | ◎ 対象 |
| Bitget(2026年9月、海外) | ホットウォレットなどから約3億8,750万ドルが不正送金 | 自社の「ユーザー保護基金」で全額カバーすると発表 | × 日本の登録なし |
出典:Mt.Gox再生管財人「ビットコイン及びビットコインキャッシュによる弁済の実施に関するお知らせ」(2024年7月5日)、ITmedia NEWS(Coincheckの補償、2018年3月12日)、金融庁「FTX Japan株式会社に対する行政処分について」(2022年11月10日)、Bloomberg(FTX Japanの出金再開、2023年2月21日)、関東財務局「株式会社DMM Bitcoinに対する行政処分について」(2024年9月26日、流出の事実)、DMM Bitcoinの2024年6月5日の発表(全額保証。公式サイト閉鎖のため報道:Impress Watch 2024年6月14日)、SBI VCトレード公式FAQ(DMM Bitcoinからの口座・預かり資産の移管、2025年3月8日)、Bitget公式「[SECURITY NOTICE] Bitget Hot Wallet Incident」(2026年9月24日、保護基金)と「Bitget Security Latest Incident Update: Fund Tracing and Recovery Bounty Program」(2026年9月25日、約3億8,750万ドルへの修正)。

ここから分かることは2つです。
- 登録業者でも流出は起きる:DMM Bitcoinについて関東財務局は、秘密鍵の署名作業を1人で行い、鍵を一括で管理するなど「杜撰な管理実態」があったと指摘しています。金融庁は2024年9月26日と12月24日に、業界全体へ流出リスクの自主点検を求めました。
- 分別管理は「破綻」には強いが、「流出の補償」は会社の体力しだい:FTX Japanは親会社が破綻しても日本の利用者に資産が戻りました。一方、流出の補償は、DMM Bitcoinのようにグループの支援があって初めて全額になった例です。
国内の登録業者でも、1社に全部を預けず、2社以上に分けておくと、1社が出金を止めたときにも売買や日本円への出金を続けられます。
海外の取引所に置くのは?日本の法律では守られない
金融庁に登録していない海外の取引所に置いた資産は、日本の分別管理・優先弁済の仕組みの対象外です。補償があるかどうか、破綻したときにどの国の手続きで、いつ返ってくるかは、その会社と所在国しだいになります。
2026年9月のBitgetのように、自社の基金で補償すると発表する会社もありますが、これは会社の判断で、法律で約束されたものではありません。また、金融庁は無登録で日本の居住者に営業する海外業者に警告を出しており、警告のあとに日本向けのサービスを終える取引所も続いています。海外の取引所に資産が残っている人は、「仮想通貨の詐欺・出金停止・金融庁警告の一覧」と「海外取引所の日本撤退まとめ」で、使っている取引所の状況を確かめてください。日本円に戻す手順は「海外取引所から日本円に戻す方法」にあります。
ハードウェアウォレットは安全?弱点は「買い方」と「24語」
ハードウェアウォレットは、秘密鍵を専用の端末の中に閉じ込め、送金のたびに端末のボタンで承認する仕組みです。取引所の流出や破綻の影響を受けず、パソコンがウイルスに感染しても鍵は端末の外に出ません。代表的な製品に、フランスのLedger(Nano S Plus、Nano Xなど)、チェコのTrezor、スマホにかざして使うカード型のスイスのTangemがあります。
ただし、端末のチップが破られるより、端末の外側が狙われる例が目立ちます。
| 危険 | 実際の例 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 改ざん・偽物の端末 | 2026年10月、東南アジアの販売店で買ったLedgerの利用者から資金流出の報告。研究者は日本のヤフオクやAmazon.co.jpの第三者出品者から買われた改ざん端末も報告(詳しくはLedgerの記事) | メーカーの公式ストアで買う。中古・フリマ・個人売買は使わない |
| 24語の同封・偽サポート | 箱に復元フレーズのカードが入っている、注文していない「交換品」が届く、DMで「サポートです」と連絡が来る | 24語は自分で端末に作らせる。アプリやサイトに入力しない |
| 端末そのものの欠陥 | Coldcardで乱数の不具合が見つかり、流出が起きた(Coldcardの記事) | メーカーの発表を確かめ、ファームウェアを更新する |
| 24語の紛失 | 端末が壊れても24語があれば別の端末で戻せるが、24語を無くすと誰も戻せない | 紙や金属に書き、2か所以上に分けて保管。写真・クラウドには残さない |
24語の復元フレーズを知っている人は、端末が無くても資産を動かせます。メーカーのサポートも含めて、24語を聞いてくる相手はすべて詐欺と考えてください。Ledgerは、正規の端末やサポートが復元フレーズをパソコン・スマホ・アプリ・サイトに入力させることはないと説明しています。
セキュリティ企業Hackenの2026年第3四半期(7〜9月)のレポートは、Coldcardの乱数の不具合(2021年3月のファームウェアの変更が原因で、5年以上見つからなかった)による流出を約1億1,500万ドルと数え、調べた各国の規制はどれも、利用者が自分で保管するために買う端末を対象にしていないと指摘しています(2026年10月19日確認)。
ソフトウェアウォレット(スマホ・ブラウザ)はどう使う?
MetaMask(メタマスク)やPhantom(ファントム)などのソフトウェアウォレットは、DEXやDeFi、エアドロップを使うための入り口です。便利な反面、鍵がネットにつながった端末の中にあるため、3つの置き場所の中では最も狙われやすい場所です。
- 偽サイト・偽アプリ:本物そっくりのサイトで「ウォレットを接続」させ、24語や署名をだまし取る(MetaMaskを名乗る詐欺の見分け方)
- 承認(approve)の悪用:過去にトークンの使用を許可したサイトが乗っ取られると、資産を抜かれることがある(承認の取り消し手順)
- スマホの脆弱性:OSの更新を止めていると狙われやすい(iPhoneの脆弱性と自衛策)
MetaMaskの公式ヘルプは、復元フレーズを無くすとMetaMaskを含めて誰も取り戻せないと説明しています。ソフトウェアウォレットには、その日に使う分だけを入れ、使い終わったら取引所かハードウェアウォレットへ戻すのが基本です。ハードウェアウォレットをMetaMaskなどにつないで使えば、DeFiを使いながら鍵は端末に置いたままにできます。Phantomの使い方は「Phantomウォレットの使い方」で解説しています。
もう1つの弱点は、ウォレットのアプリそのものが提供を終えることがある点です。2026年10月には、Cobo Walletが個人向けアプリを日本時間12月1日午前1時で終了し、残った資産から毎月2%(最低100ドル相当)を差し引くと告知しました(Cobo公式の告知)。歩数で貯めるSweat Walletも、2026年12月30日での終了を発表しています(Sweat財団の告知)。いずれも2026年10月17日確認。どちらも期限までに別のウォレットか取引所へ送り出す必要があり、手順は「Cobo Walletが12月1日に終了|出金しないと毎月2%差し引き」と「Sweat Walletが12月30日で終了|やることと換金の方法」にまとめています。
金額と使い方でどう選ぶ?保有額別のコストの目安
ハードウェアウォレットには本体代と送金手数料がかかるため、保有額が小さいうちは、費用の割合が大きくなります。BTCを国内の取引所からハードウェアウォレットへ1回移す場合で計算すると、次のとおりです。
| 保有しているBTCの額 | 初回にかかる費用の目安 | 保有額に対する割合 |
|---|---|---|
| 10万円 | 約17,500円 | 約17.5% |
| 50万円 | 約17,500円 | 約3.5% |
| 100万円 | 約17,500円 | 約1.8% |
| 300万円 | 約17,500円 | 約0.6% |
計算の前提:本体はLedger Nano S Plus(公式ストアで69ドル、1ドル=158円で約10,900円。送料・関税は含まない)。送金手数料はOKJのBTC出庫手数料の最低額0.0005BTC(OKJの販売所の中値1BTC=約1,314万円で約6,600円)。2026年10月11日11時時点。取引所・銘柄・ネットワークによって送金手数料は大きく変わり、OKJではXRPの出庫手数料は0.2XRPです。
この試算は「どの額から必ずハードウェアウォレットにすべき」という線引きではありません。費用の割合と、自分で24語を管理する手間・危険を比べて決めます。使い方ごとの考え方は次のとおりです。
よく売買する・日本円に出し入れする → 金融庁に登録された国内の取引所。2社に分けておくと、1社が止まっても困らない
何年も持つつもりで、費用の割合が気にならない額がある → 公式ストアで買ったハードウェアウォレット。最初は少額を送り、戻せることを確かめてから本送金
DEX・DeFi・エアドロップを使う → ソフトウェアウォレットに使う分だけ。大きな額はハードウェアウォレットをつないで使う
24語を確実に保管する自信がない → 無理に自分で持たず、国内の登録業者に置く。自分で持って無くすのが、いちばん取り返しがつかない
自分で持つ場合も、家族が場所を知らないと、万一のときに資産を受け継げません。24語そのものではなく「どこに何があるか」をエンディングノートなどに残しておく方法があります。
自分で保管するときにやってはいけないことは?チェックリスト
ハードウェアウォレットやソフトウェアウォレットで自分で持つ前に、次の10項目を確かめてください。1つでも当てはまる「やってはいけない」があれば、その方法では資産を入れないでください。
- ハードウェアウォレットはメーカーの公式ストアで買う。SNSの広告、フリマ、オークション、中古は使わない
- 箱に24語のカードやPINが入っていたら使わない。届いた時点で設定済みの端末も同じ
- 24語は端末に自分で作らせる。人から渡された24語は使わない
- 24語を写真・スクリーンショット・メモアプリ・クラウドに残さない
- 24語をサイトやアプリに入力しない(復元のときを除き、入力先は新しい公式の端末だけ)
- 24語は紙か金属に書き、2か所以上に分けて保管する
- ウォレットのアプリは公式サイトか公式のアプリストアから入れる。提供元の名前を確かめる
- 大きな額を送る前に少額を送って、届くこと・戻せることを確かめる
- 送金先アドレスは端末の画面に表示されたものと一字一句同じか確かめる
- 「サポート」「補償」「資金を取り戻せる」とDMで連絡してくる相手には答えない
取引所に置く場合は、2段階認証をアプリ型(SMSではなく認証アプリ)にし、出金先のアドレスを登録したものだけに制限する設定を使ってください。
よくある質問
Q. 仮想通貨を取引所に預けっぱなしにするのは危険?
金融庁に登録された国内の取引所に預けっぱなしにすること自体は、法律の保護がある分、海外の取引所や管理に慣れていない自分のウォレットより危険が小さい場合もあります。国内の登録業者は、預かった暗号資産を自社の分と分け、95%以上をネットから切り離して管理する義務があります。ただし流出の全額補償は義務ではないため、大きな額は2社以上に分けるか、一部をハードウェアウォレットに移すと危険を分散できます。
Q. 国内の取引所が潰れたら、預けた仮想通貨は戻ってくる?
国内の登録業者が破綻した場合、利用者は分別管理された暗号資産と履行保証暗号資産から、他の債権者より先に返してもらう権利があります(資金決済法63条の19の2)。2022年に親会社のFTXが破綻したFTX Japanでは、日本の利用者の資産は分けて管理されており、2023年2月に出金が再開しました。ただし、返ってくるまでの期間や手続きはケースによります。
Q. 取引所がハッキングされたら補償される?
国内の登録業者は、流出などで暗号資産を返せなくなった場合の対応方針を決めて公表する義務がありますが、全額補償そのものは法律の義務ではありません。Coincheck(2018年)は流出したNEMを日本円で補償し、DMM Bitcoin(2024年)はグループ会社の支援で流出分の全額を保証しましたが、どちらも各社の判断です。使っている取引所の「流出時の対応方針」を公式サイトで確かめておくと安心です。
Q. コールドウォレットとハードウェアウォレットの違いは?
コールドウォレットは「秘密鍵をネットから切り離して保管する方法」の総称で、ハードウェアウォレットはそれを個人が実現するための専用端末です。紙に鍵を書くペーパーウォレットもコールドウォレットの一種ですが、作り方や送金の手間を誤りやすいため、初めての人にはハードウェアウォレットの方が扱いやすいとされています。
Q. ハードウェアウォレットはどこで買えばいい?Amazonやメルカリは?
ハードウェアウォレットは、メーカーの公式ストアで買うのが確実です。2026年10月には、研究者がヤフオクやAmazon.co.jpの第三者出品者から買われた改ざん端末を報告しています。Amazonで買う場合は「販売元」が公式かを確かめ、フリマ・オークション・中古は避けてください。詳しくは「Ledgerの改ざん端末の記事」で説明しています。
主なメーカーの公式ストアは、Ledger(フランス)、Trezor(チェコ)、Tangem(スイス)です(2026年10月18日確認)。※広告(PR):Tangemのリンクは紹介リンクで、ここから公式ストアで買うと購入者は10%引きになり、Coin Mapに紹介の報酬が入ります(Tangem公式ヘルプ)。海外の公式ストアは米ドル払いで、関税・消費税が到着時にかかる場合があります。Tangemは日本の正規代理店から国内発送でも買えます(違いはTangem Payの記事)。
Q. ハードウェアウォレットを無くしたり壊したりしたら?
ハードウェアウォレットを無くしたり壊したりしても、24語の復元フレーズがあれば、新しい端末に入れて資産を取り戻せます。資産は端末の中ではなくブロックチェーン上にあり、端末は鍵を入れておく道具だからです。逆に、端末が手元にあっても24語とPINの両方を忘れると、取り戻せなくなるおそれがあります。
Q. 24語(復元フレーズ)を無くしたらどうなる?
24語の復元フレーズを無くし、端末やアプリにも入れなくなった場合、その資産は誰にも戻せません。メーカーやウォレットの会社は24語を保管していないためです。「取り戻せます」と言ってくる業者は、返金をうたう二次被害の詐欺と考えてください。
Q. 取引所からウォレットに移すと税金はかかる?
自分の取引所の口座から自分のウォレットへ移すだけなら、売却や交換をしていないため、それだけで税金はかかりません(国税庁の暗号資産FAQの考え方)。ただし、ウォレットに移した後の売却・交換・支払いは課税の対象で、取引所の年間取引報告書には載らないため、自分で記録を残す必要があります。税金の計算は「会社員の仮想通貨の税金」で解説しています。
Q. スマホのウォレット(MetaMaskなど)に入れておけば安全?
スマホやブラウザのウォレットは、取引所の破綻の影響は受けませんが、偽サイト・偽アプリ・承認詐欺・スマホの乗っ取りに狙われやすく、長く大きな額を置く場所には向きません。使う分だけを入れ、OSとアプリを最新にしてください。2026年10月には、ブラウザで作ったシードの乱数が弱く、Qubic(QUBIC)の1,404件のウォレットから資金が抜かれる事件も起きています(Qubicの流出:自分は対象?)。
まとめ:置き場所は「何から守りたいか」で分ける
- どこにも「絶対に安全」はない。違うのは、何が起きたときに誰が守るか
- 国内の登録業者:分別管理・95%以上のコールド管理・優先弁済が法律で決まっている。流出の全額補償は義務ではない
- 海外の取引所:日本の法律の保護の対象外。補償は会社の判断
- ハードウェアウォレット:取引所の事故から切り離せる。公式ストアで買い、24語を自分で守る
- ソフトウェアウォレット:使う分だけ。大きな額は置かない
- 1か所に全部を置かず、使い方と額で分ける
この記事は特定の保管方法や銘柄をすすめるものではありません。法令・各社の情報は2026年10月11日時点で確認したもので、変わることがあります。
関連記事
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- MetaMask(メタマスク)を名乗る詐欺の見分け方
- 量子コンピュータでビットコインはどうなる?危ないアドレスの見分け方
出典(確認日:2026年10月11日)
- e-Gov法令検索「資金決済に関する法律」(63条の11、63条の11の2、63条の19の2)
- e-Gov法令検索「暗号資産交換業者に関する内閣府令」(23条3項、27条、28条、29条)
- 金融庁「暗号資産交換業者登録一覧」(令和8年9月1日現在、27業者)
- 金融庁「国会提出法案等」(金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律、令和8年7月15日成立)
- 関東財務局「株式会社DMM Bitcoinに対する行政処分について」(令和6年9月26日)
- 金融庁「暗号資産の流出リスクへの対応等に関する注意喚起及び自主点検要請について」(令和6年9月26日)
- 金融庁「FTX Japan株式会社に対する行政処分について」(令和4年11月10日)
- Bloomberg「FTX Unit in Japan Becomes First to Resume Customer Withdrawals」(2023年2月21日)
- ITmedia NEWS「コインチェック、一部仮想通貨の出金・売却を再開 不正送金されたNEM保有者の補償も」(2018年3月12日)
- Mt.Gox再生管財人のお知らせ一覧(2024年7月5日 弁済の実施に関するお知らせ ほか)
- Bitget公式「[SECURITY NOTICE] Bitget Hot Wallet Incident」(2026年9月24日)
- Bitget公式「Bitget Security Latest Incident Update: Fund Tracing and Recovery Bounty Program」(2026年9月25日)
- SBI VCトレード公式FAQ「DMM Bitcoinからの口座・預かり資産移管について」(2025年3月8日移管)
- Impress Watch(DMM Bitcoinの全額保証、報道)(2024年6月14日。DMM Bitcoinの公式サイトは閉鎖)
- OKJ公式ヘルプ「ステーキング中の資産はどのように管理されますか?」
- OKJ公開データ(出庫手数料)・OKJ公開データ(販売所の価格)
- Ledger公式ストア「Ledger Nano S Plus」/Ledger公式の安全な買い方の解説
- MetaMask公式ヘルプ(復元フレーズなしでアカウントにアクセスできるか)
- 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い」




